滅多に起こらない事故が起こった群馬大病院

群馬大学は20日、群馬大病院の新生児集中治療室(NICU)などに入院中の乳児10人が、血液を通じて体内に酸素が行き渡りにくくなるメトヘモグロビン血症を発症したと発表しました。
メトヘモブロビン血症は、日本では滅多に起こらないと考られていました。実際、水圏環境学で硝酸・亜硝酸の水質基準を紹介するときも、「海外ではこういった例があるので。。」と説明してきました。

乳児のメトヘモグロビン血症:農林水産省

今回の場合、新生児室に病院の井戸水(=地下水)を使用していたことから、起こってしまいました。

日本では、病院など大量の水を使う施設で地下水利用が増えています。地下水自体は無料で使用できるため、大幅なコスト削減が可能だからです。

ただし上記記事でも指摘しているように、浅い地層の地下水(浅井戸)は水質が常に変化し、周辺の汚染の影響が及びやすいことに注意が必要です。今回の場合も汲み上げてから硝酸・亜硝酸性窒素が混入した可能性よりは、地下水につながるどこかで、無機態窒素が大量に発生するような投棄が行われた可能性が高いと思われます。
無機態窒素の混入は、浅い地層の地下水を使用している施設ではどこでも起こり得ることで、不祥事続きの群馬大病院だから起こったとは言いがたいと思います。全国の地下水を利用している総合病院で、3ヶ月未満の乳児が利用する可能性がある診療科(産婦人科、小児科など)だけは水道水を使用するなど、同様の事故が起こらない対策を講じるべきだと思いました。