ビスフェノールAは牛乳パックからも出る

ビスフェノールA曝露がラットの母親よりも胎児により深刻な影響を与えるとの研究が、プレスレリースされました。改めて、人間の胎児への影響が懸念されます。

ビスフェノールAはプラスチックから出てくる成分と思っている人が多いと思いますが、実は牛乳などの紙パックの表面加工にも使われています。故・小寺とき様が無農薬の国産飼料で育てた乳牛によるホモジナイズしない低温殺菌牛乳(みんなの牛乳)を作る際に、「紙パックは絶対ダメ!」と主張したのはそのためです。
当時はビスフェノールA問題は知られていませんでしたが、彼女は非常に聡明だったので、紙パックに使われるライニングから人に悪影響を及ぼす化学物質が溶出するはずだと確信していたのです(と学生だった私に教えてくれました)。牛乳の紙パックからビスフェノールAが溶出することは、国立医薬品食品衛生研究所による下記部分翻訳でも指摘されています(ビスフェノールAのヒト生殖発生影響に関するNTP-CERHRモノグラフ)。

http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/ntp/ntpj/BisphenolA-j.pdf

マイクロプラスチックが問題視されるなか、プラスチックの使用は減少すると期待したいところです。ところが、その代わりに何を使用するかが正しく理解されていません。
「みんなの牛乳」で小寺とき様はガラス瓶にこだわりました。リサイクルできて、かつ化学物質の溶出がほとんどないからです。

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紙パックもリサイクル可能かもしれませんが、紙が液体を保持するためには当然ながら、化学物質による加工を施します。プラスチックのリサイクルが大変危険なのは、杉並病や寝屋川病からも明かです。

そして「みんなの牛乳」は、まもなく大瓶での購入ができなくなります。牛乳用のガラス瓶を作ってくれる業者が少なく、コストがとても高くなってしまったからです。
「リサイクル」とか「サステナブル」などの言葉だけ踊って、現実には化学物質の影響が少ないリサイクルが消えていく日本。その先に待っているのは、ほとんどの子供が生まれつき化学物質に大なり小なり侵されているという、ホラーのような近未来かもしれません。。。

追伸

もう決まったとのことですが、何とか大瓶を続けていただけないでしょうか。大瓶廃止をきっかけにやがて東毛酪農の牛乳がすべて紙パックなんてことになったら、小寺様がされてきたことが損なわれてしまうと思うのです。