縦割り日本とマイナンバー

老人保健施設(老健)で介護してもらっている父親が数週間前から食事をほとんど食べなくなり、点滴で栄養補給しています。それでもアイスクリーム程度は食べていたのに、今週になってそれも食べなくなったと連絡がありました。看護師さんから「認知症が関係していると思うので、神経内科で診てもらって下さい。」と言われ、老健の隣にある病院を受診してきました。
隣にあるなら看護師が連れて行けばと思うかもしれませんが、ムダだらけの縦割り日本では、老健は介護保険制度、病院は後期高齢者保健制度なので、老健の看護師さんが連れていくことはできないそうです。
診察中も、老健ではデータが紙でファイルされているので、現在どんな薬が処方されているのか医師には全くわかりません。病院のデータなら電子ファイルで検索できるのですが、紙ファイルだと膨大(父の場合、百科事典1冊分くらい)な紙資料をひとつひとつ見なければならないのです。
病院の看護師さんが老健に電話して「どのあたりに薬情報入ってますか?」と問い合わせてようやく発見。医師は薬が原因ではないと判断し、「アパシーが原因」と診断。通常なら処方箋を出すところですが、老健に滞在中の薬は老健で処方しなければならないので、医師は老健の担当医に「○○の処方を推薦します。」と申し送りを書いていました。
マイナンバーになったら医療情報も統一化できるみたいな報道がありましたけど、この現状を見ているとあり得ないです(そもそも介護保険関係データは電子化されてませんから)。
案の定「機微性の高い医療情報とマイナンバーがつながるということは協議の俎上にも上っていない」との指摘が医療側からあったようです。

日本年金機構から不正アクセスにより125万件もの個人情報が流出したこともありましたし、私はマイナンバーカードは強制にならない限り持ちません。

追伸
「アパシー」は認知症の症状のひとつで、あらゆることに無気力無関心になることです。父の場合、歩行能力の衰えで最近はほとんど車椅子になり、その結果食欲が減ったと思われますが、「食欲がなくても健康維持のために食べよう」という気力さえなくなるのがアパシーなんだそうです。
父親とは会話は成り立ちますし、昔のことはほとんど覚えています。認知機能より先にアパシーが進んでいるのが不思議です。