農薬を減らすために「有機農業」を目指すべきか?

日本では「有機農業」を「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」と定義されているそうです。

【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~:農林水産省

私の家庭菜園は、ウリハムシ対策として薬局で買ってきたメントールを薄めたものをかけています。また牛糞堆肥などはどんな餌を食べた糞か分からないので、化学肥料だけを使っています。ですので有機農業ではありません。
化学的に合成していないリン肥料として、最近よく使われているのがバットグアノです。これはコウモリの糞が約100年以上経って石化したものなので、量に限りがあります。リン鉱石も枯渇が懸念されていますが、有機肥料だってモノによっては枯渇します。
「化学肥料は製造に化石燃料を使うからダメ」というのであれば、苦土石灰はどうなのでしょう?酸性雨でなくても、空気中の二酸化炭素が純水に十分溶けた雨のpHは5.6なので、土壌は次第に酸性化します。タマネギ栽培はpH6以上にする必要がありますから、通常は苦土石灰をまいて調整します。苦土石灰もドロマイトを乾燥・粉砕する際に化石燃料を使います。苦土石灰使用は、有機農業ではOKなのでしょうか?有機農業って、私にはとても分かりにくいです。
下記論文では、「工業型農業」vs「保全型農業」として、後者の持続性や生態系保全におけるメリットを解説しています。

どちらも殺虫剤を使っていますが、後者の方が量が少なくて済みます。
農薬を現実的に減らす方法としては、日本の定義による「有機農業」を目指すよりは、この「保全型農業」を目指すべきだろうと思いました。