腸内細菌に最も影響を与えるのは食生活ではない

12月4日のNHKサイエンスゼロのテーマは「睡眠・持久力・肥満まで!腸内細菌がもたらす驚異のパワー」 でした。

腸内細菌は細菌が生成する代謝物を通じて、人の持久力や肥満、健康長寿などにも影響する。その多様性を維持するには食物繊維を含む野菜や豆類を多く摂ることが重要、というあらすじでした。末尾では「将来は腸内細菌を人間が意図する方向に操れるようになる。」との希望が語られていました。
その前に解決しなくちゃならないのが、日本の医療における薬剤の多量投与だと思います。この番組を見ていて「抗生物質など明らかに細菌に影響を与える薬剤があるのに、それに全く触れないのはおかしい。」と違和感を感じたのですが、やはり食事よりも薬剤の方が腸内細菌に影響を与えるようです。

上記の研究では調べられていませんが、除菌スプレーや抗菌剤入り洗剤、いわゆる除菌装置などの使用の影響も、「除菌」の良い面ばかり強調される日本では、いつかは深刻になるのではないかと思いました(特に幼児に対して)。

除菌がよいと思い込むことの別の悪影響が、水道水を塩素消毒までして飲用にしていることです。そんな国って、そう多くないです。有機物が多い水を塩素消毒すると、トリハロメタンなどの有機塩素化合物だけでなく、発癌性物質であるホルムアルデヒドもできてしまうからです。水道水中の消毒副生物は揮発性が高いので、飲まないだけでなく、入浴時は換気をよくすることも重要です。