2021年に亡くなった津谷裕子様は、自身も被害を受けた杉並病の原因は不燃ゴミ圧縮施設で発生した化学物質だと様々な手段で訴えていました。
昨年3月、津谷様のお宅が解体され資料は全て産廃業者が処分することになったと、知人から相談がありました。その知人と津谷様宅に行き、CDやFDなど生データが入っていそうな物を頂いてきました。津谷様は杉並不燃ゴミ圧縮施設からイソシアネートが出ていたと疑っていたのですが、当時はGC/MSで分析していて、私のLC/MS/MSを使っても分析が困難だったイソシアネートがGC/MSで検出できるくらいあったのが不思議だったからです。
そうしたところ昨年末に杉並病原因解明に関わっていた研究者の方から、「GC/MSのデータが残っていたら再解析したい。」とのご連絡をいただきました。生データを残していて良かったと思いました。
私の40年以上にわたる研究を通じて得られた生物試料、堆積物試料、データ類。
データはともかく、試料は数年前から関係しそうな知人に引き取ってもらえないか相談していて、一部は引き取ってもらえましたが大部分はコロナの影響もあり、引き取り手が決まっていません。父親が亡くなったことで始まった両親の遺品整理でさえかなりの時間を費やしているのですが、試料、データ、装置、消耗品、書籍は、両親の遺品とは桁が違います。3年後の定年までに整理するなんて、ほぼ不可能な気がしてきました。
東大地理出身の前任者は、在籍中に私を後任の陸水学の教授に決めて、装置類など全て実験室に残したままでした。そのため私が着任して2年かけて何とか整理しました。その所属専攻の、地理の後輩にあたる教授に後任分野をどう考えるのか尋ねたところ、陸水学ではなく自分と同じ地形学でとりたい意向のようでした。なので前任者のようにはいきません。
スパッと産廃に出すのが簡単なのでしょうけど、今回の津谷様のようなことが起こる可能性が極めて高いので、ど~したものかと思います。。
(追伸)
西條研関係者の方がこの記事お読みでしたら、西條先生が旧信大諏訪湖実験所の故・花里先生と私に分割して預けられた資料(吉村先生や菅原先生から西條先生が引き継がれたもの)を名古屋大学のどこかで保管してくださるよう手配いただけませんでしょうか?所属専攻図書室で「西條文庫」として保管しているのですが、先述のようにもう一人の地理出身教授が、陸水学を東大に残さないようなので。