プラスチックリサイクル

報告書というものは、その分野の専門家の査読を得ていない情報です。
私自身あまたの報告書を執筆しましたが、その全てが査読付き論文になったわけではありません。査読されて初めて気づいた思い込みもありました。分かりにくい論理構成を指摘されたこともありました。


なので科学者であれば、まずは自身が現地調査や実験から得たナマ情報、次に査読付き論文から得られる情報を優先すると思います。報告書からの情報はその次です。

廃プラスチックリサイクル処理施設からの気体が原因と被害者が訴えたN病健康被害があります。私はその自治体の下町に高校卒業まで住んでいました。そして2010年に、山の手にある被害地域に行った際に、被害者やその弁護をされた諸先生方の説にいくたの疑問を抱きました(つまり現地を見てアレ?と思ったのです)。

その疑問は以降、忙しくて検討していなかったのですが、プラスチックリサイクル法ができて同様の健康被害が起きるかもと思って、改めて検討を始めました。某N病の理工系出身の被害者の方からの情報収集も始めました。

そうして「これは某N病で裁判に訴えて退かれた経緯があるので、もう少し万全な根拠が必要」と思ったことを某N病被害者の方に伝えたら、「裁判所に提出した報告書を読め」と、私にはムダと思われることを言われました。仕方なく自身で査読論文を探し出し、その論文で抱いた疑問を改めてその方に伝えたら、「維新の会の政治家になるつもりか?」みたいな返答をいただきました。

某S病被害者の元産総研研究者からもこれに似たことを言われ、「この方はかつての私が受けたような、脳神経系へのダメージを受け続けているのか?」と思いました。お話になりません。

本当に廃プラスチック圧縮「ダケ」で健康被害が生じるのか、その頃の分析技術より進んだ分析ができる若手科学者に、懸念を伝える必要があります。私は今年度も含め3年で現役でなくなります。なので若手に研究してもらうためには、査読付き論文を示して誘わなければなりません。そういった事が、理工系出身であっても、某N病被害者の方には理解いただけませんでした。

幸いなことに、私に「維新の会の政治家になるつもりか?」と言われた某N病被害者の地域では、その後、健康被害が続いているとのネット情報はありません。さらには現在、廃プラ圧縮処理施設近傍で同様の健康被害が生じたとのネット情報もありません。

廃プラ処理施設、特に某N病被害者の方々が「圧縮するだけで有毒気体が発生する」との主張を科学的により強固にするためには、査読付き論文を元に説明されないとです。某N病被害者の方には、そういった事情を全く理解いただけませんでした。

非常に残念です。