1980年代の研究テーマは底生動物と環境との関係だったため、日本各地の汽水湖や干潟、河口でサンプリングし、液浸標本にしていました。それらの多くがまだ残っていて、昨日、内容を確認しました。
「これはかなり貴重かも。」と思ったサンプルは関係しそうな機関を探して、今日までにほぼ問い合わせを済ませました。一部は早々に寄贈先が決まりました。
まだ全く問い合わせていないのが、私が勝手に「示相化石のタイプ標本」とみなしている、ヤッコカンザシです。
日本の沿岸域で変動地形をやっている方なら当り前のように旧汀線の指標にしているヤッコカンザシは、下記の論文で初めて、汀線の指標として有効であることが提案されました。
この研究でヤッコカンザシの同定と、潮下帯の動物群集の現場調査をしたのは私です。51頁の注13)には「著者『ら』の潜水調査結果による」と書かれていますが、共著者の一人は細長い動物が苦手だったので同行してくれず、地学とは無関係な知人に同行してもらって潜水調査したのでした。
この潜水調査を行った千葉大小湊実験場近くで採集した底生動物と、同定に使った現生ヤッコカンザシがまだ残ってました。
示相化石として用いられる元となった現地サンプルという意味で「示相化石のタイプ標本」とみなしているのですが、「化石」ではなくホルマリンサンプルなので、地学の人で関心を持つ人は少なさそうです。
できれば地学系の博物館で保管してもらえればと思うのですが。。