天災被害は複合する

能登半島では地震に次ぐ豪雨災害で、「二度も被災するとは。。」との声が報道されています。
また報道では、地震により斜面が崩れやすくなっていたこと、治水施設が損壊していたこと(隆起・沈降も含む)などから、被害が深刻化したと解説しています。
地震後に水害が深刻化することは、いわば「常識」でした。そのため、東北大震災により霞ヶ浦湖岸で堤防などの治水施設が損壊しましたが、「多雨期までに修理完了」を目標に、急ピッチで復旧工事が行われました。石川県は復旧工事が長期化すると分かった時点で、水害リスクが従来より深刻になることを、能登半島の市町村に周知すべきだったと思います。
地学的には「天災による被害は複合する」ことは、当然視されていると思います。
例えば1783年の浅間山大噴火では直後の火砕流被害だけでなく、降灰により農作物に影響がでました。また寒冷化により天明の飢饉に拍車をかけました。さらには数年後まで二次・三次水害を起こしました。

今回の能登半島のような、「地震→気象災害」を首都圏で想定するならば、首都直下型地震後に台風が首都圏に近づくケースが想定されます。地震により防潮堤が一部破損している状態で高潮になったら、たとえ破損が一箇所でも、その潮位近くまで東京湾沿岸に海水が浸入します。
同様に河川堤防が破損しているところに豪雨に襲われたら、0メートル地帯に浸水被害が広がります。
人口集中がハンパではないので、垂直避難しても救助が来るまでに数日以上かかります。なので江戸川区では洪水が想定されるときには「区内にいてはダメです。」と呼びかけています。

日本では人口の多くが水害に遭いやすい沖積低地に住んでいるので、この江戸川区のハザードマップで説明されていることを理解し、自分が住んでいる場所に当てはめて考えるのがよいと思います。