シジミしか採れない宍道湖

島根県松江市には宍道湖があり、そこでとれる魚介類が「七珍」とされていました。

このうちウナギとワカサギの漁獲量は、1993年にネオニコチノイド系殺虫剤が田んぼで使われ激減しました。

この時には減らなかったシラウオも、1998年をピークに減少しています。漁師をしている知人によると、今季は全くいないとのことでした。

シラウオもワカサギ同様、高水温で減少したと吹聴されているそうです。あり得ないことです。
たとえば霞ヶ浦は湖岸水温が37℃以上になります。

霞ヶ浦における夏季の湖岸水温

その霞ヶ浦のシラウオは昨年、凍結生がブランド化して売り出されています。高水温が原因であれば、霞ヶ浦でも激減しているはずです。

宍道湖ではエビ類やハゼ類もほとんど採れなくなり、減少原因としてネオニコチノイドが疑われています。

宍道湖における定置網による魚類と甲殻類漁獲量の長期変化

聞くところによると、宍道湖の漁業関係者はシジミさえ採れればよいとのスタンスで、シジミ以外の漁獲量が減っても気にしていないそうです。
七珍を支えてきた豊かな汽水湖生態系を有していた宍道湖はシジミくらいしか採れない、極めて貧相な湖になってしまいました。そのこと自体もですが、七珍を文化として受け継いで来た地元が事態を看過していることの方が、茹でガエルを見る思いがします。