2月3日付「Nature Medicine」に掲載された研究で、マイクロプラスチック(径5mm以下)とナノプラスチック(径1μm以下)が、人間の肝臓や腎臓よりも高い濃度で脳に蓄積されると報告しています。
上記のナショナルジオグラフィック記事は1ページで、脳にも侵入できるのはナノプラスチックだけと考えられていたのが、マイクロプラスチックも侵入できることが分かったと書いています。
2ページでは、鼻から吸い込まれた粒子が直接脳に到達しているのではないかと書いています。
ここで疑問に思ったのは、マイクロプラスチックが気圏に供給されるはるか以前から、マイクロプラスチックやナノプラスチック同様の微細な粒子が、大気に漂っていたことです。例えば黄砂です。
黄砂にはPM2.5 (2.5μm以下の粒子)が含まれていますし、黄砂が人為起源の大気汚染物質を取り込んでいる可能性も示唆されています。それらが鼻から直接、脳に取り込まれていたという報告や、それが認知症などの疾患を起こしていたという報告はあるのでしょうか。
先日のNHKクローズアップ現代で、プラスチックの強化剤や可塑剤が溶け出しやすくなるのが問題と解説されていました。
私は25年前に、プラスチックの可塑剤であるフタル酸が既に環境に拡散していて、カモ類に生物濃縮している可能性を指摘しています。マイクロプラスチックなんて誰も問題視していなかった時代です。今さら「可塑剤などが健康に影響する」と言われても、と思います。
潜水鴨類キンクロハジロによるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル及びフタル酸ジ-n-ブチルの生物濃縮
マイクロプラスチック・ナノプラスチックはなぜ問題なのか。
生態系については、例えばバイカル湖では植物プランクトンサイズのマイクロプラスチックが一定濃度以上あって、動物プランクトンが餌だと思って取り込むことが問題(=ムダにエネルギーを使っている)と指摘しましたが、ヒトについてはいまいち問題点が分からないでいます。