日本の陸水学が花里孝幸さんを実質的に失って、もう10年以上になるのに気づきました。
亡くなったのは2021年ですが、私が会長になった2016年には多くの人が、花里さんに異変が起きていると気づいていたようです。何も問題がなければ間違いなく、私ではなく花里さんが会長になっていたと思います。2018年には、お弟子さんと会話することさえできなかったと記されています(松崎、2022)。
花里さんは一般向けの本を多数書かれていて、調べた限りでは2013年に発行された「生き物びっくり実験! ミジンコが教えてくれること」が最新でした。これ以降、急速に病が進行してしながらも、仕事を続けようとしていたのでしょう。
1957年生まれなので、病気が進行したのは50歳代です。40歳で事故死された吉村信吉先生ほどではないにしても、陸水学会ではずば抜けた方ほど早く亡くなるのかしら?と思ってしまいます。
私が65歳の定年まで何とか研究をつづけることができたのは凡才だらかこそなのですが、凡才なりに、花里さんが取り組んでいた下記テーマは引き継がなければと思います。
・化学物質が生態系に与える影響
・ニセ科学の排除(特に自然再生、環境保全などの冠をかぶったもの)
気がかりなのは、西條八束先生から託された吉村信吉先生の蔵書類です。私が東大に赴任するまでは花里先生に送られ、以降は私に送られました。花里先生に送られた蔵書が今どうなっているのか、調査できていません。私が保管している分を名古屋大学などで引き取ってもらえないか、西條先生のお弟子さんに問い合わせたのですが、無理そうです。今年度末で定年になったら、その対処も検討しなければなりません。
(追伸)
陸水学雑誌の追悼文集「花里孝幸先生のご逝去を悼む」の現在のJstageリンクは下記です。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/rikusui/83/2/_contents/-char/ja