PCの音楽ソフトが壊れてしまい、4時間かかって修復したのですが、大切な曲が破壊されていてCDから入れ直しました。
「だったん人の踊り」。ロシアの作曲家アレクサンドル・ボロディンのオペラ「イーゴリ公」第2幕の曲で、ボロディンの最も有名な曲です。子供の頃からピアノを習っていたとは言え、有機化学が専門の研究者でした。30歳で初めて正式に作曲を習い、6年後に最初の交響曲を発表、最も有名になった歌劇「イーゴリ公」に着手したのもこの年です。
理系研究者について、理屈っぽくて情感に乏しいというステレオタイプの印象を持つ文系の方は結構多いと思いますが、ボロディンのように、理系研究者には芸術のセンスもダントツの方が多いように思います。
「イーゴリ公」は、研究で急がしかった彼の生前には完成できず、死後リムスキー・コルサコフ(この人の「シェラザード」も大好き!)らにより世に出されました。
この曲に出会ったのは高校入学直後です。当時、スカウトされた生物部と、高校になったらやってみたいと思っていたコーラスと、部活を二つ掛け持ちしてました。そのコーラスで練習していたのが、この「だったん人の踊り」でした。自分のあまりの音痴さに嫌気がさしたのと、生物部で始めた毛虫の研究が面白くて間もなくコーラスは脱退。留学先で性懲りもなく教会のコーラスに参加、ヘンデルのメサイアを練習してそれなりに美しい旋律だと思いましたが、マイベストはやっぱり、この曲とフォーレのラシーヌ賛歌。論文が思うように進まないときはこの曲を聴いて気を取り直しています。