陸水学・水環境

ネオニコチノイド研究、次の課題

先日Scienceに掲載した論文は「ネオニコチノイドによってウナギが減る」というショッキングな内容だったことから、国内外で関心が寄せられているようです。 ネオニコチノイド系殺虫剤は、水溶性・難分解性で昆虫と甲殻類に非常に効いてしまうので、米作国日…

江戸前シジミ

荒川産ヤマトシジミをゲットしました。大きいのでは殻長2cmくらいあります。宍道湖のと茶色の色合いが少し違っていて、とてもツヤがあります(白っぽいのは冷凍庫から出してついた霜です)。 今年は資源保護のため数日で禁漁にしたそうで、都内の卸しさんに…

タイワンシジミは在来種?

陸水学雑誌の最新号(80巻号)に40ページにわたって、外来シジミに関するレビューが掲載されています。日本では現在、タイワンシジミと呼ばれるシジミが外来種とされ、日本のマシジミを駆逐してしまうと主張されています。私は1980年代半ばにシジミ関係の論…

2021年度に一部ネオニコチノイドの評価を見直し

改正農薬取締法(2018年12月1日施行)では全ての農薬について、定期的に、最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みが導入されました。改正法の施行時での既登録農薬については、2021年度から優先度に応じて順次、再評価を実施することになって…

あとひとつふたつ

宍道湖でワカサギやウナギが減ったのはネオニコチノイドが原因ではないかと思いついてから論文が出るまで、丸4年かかりました。定年まであと6年なので、分析機器必須のテーマで解決できるのは、あとひとつかふたつのようです。 日本で水界生態系の脅威にな…

せめて水田ではネオニコチノイドをまかなくなるように

英語のTwitterでも、Scienceに出したネオニコチノイド論文が話題になっていました。イギリスの新聞「The Guardian」に紹介されたことで、周知されたようです。このGuardianの記事、ネオニコチノイドによる生態系撹乱に関する過去記事のリンクがいくつか貼っ…

宍道湖で1993年以降ウナギとワカサギがとれなくなった原因はネオニコチノイド

島根県にある宍道湖は、江戸時代には関西で食されるウナギを「出雲ウナギ」として供給するほど、ウナギが豊富にとれた湖でした。1991年に私が学位を取ったときもまだ十分採れていて、漁協の方々がウナギづくしの祝宴を設けてくださいました。ウナギのあらい…

タホ湖と言えば

タホ湖の近くのレストランに行ったら、壁にGoldman博士の絵が描かれていました。詩は博士自身のものだそうです。研究所ならともかく、観光客でにぎわう湖畔のレストランの入り口に描かれるなんて、すごいなぁ。

標津川蛇行復元事業のその後

北海道の標津川では2002年3月に、河口から 約8.5kmに位置する旧川(三日月湖)と標津川本川を連結する、 蛇行河川の復元実験が行われました。 http://www.rfc.or.jp/seitai/sibetu.html 実験に際して、洪水時の土砂堆積による河道の埋没や樹林化の可能性が検…

EuroLag9の締め切り、9月30日に延長されました

あまり気づかれていませんが、イタリアのヴェニスは、広大なラグーン(潟)の中にあります。その潟には様々な塩分の汽水(海水と淡水が混じった水)域があることから、汽水の区分は「ヴェニスシステム」と呼ばれています(Wikipedia「塩分濃度」参照)。その…

網走湖

北海道の網走湖に行ってきました。宍道湖同様、塩分が薄い汽水の湖です。宍道湖同様、水草が異常繁茂していると以前読んだ報告書に書いてあったので期待していたのですが、全くありませんでした。案内した方によると、平成16年以降、消滅したそうです。代わ…

Littoral Greening

「Littoral Greening: A Workshop to Understand the Drivers of Attached Filamentous Algal Bloomsin Pristine Lakes」がアメリカ・タホ湖沿岸で10月に開催されます。Litttoral Greeningとは、底生緑藻によって岸辺がおおわれてしまう現象で、日本では谷津…

水草に関する日本の生態学者のアリガチな誤解

2019年7月13日付記事で「魚が多いのは人工湖岸で水草も生えない湖」であることを解説しました。実はScheffer M. and van Nes E.H. (2007) も「小さくて水草が多く魚が少ない湖か、大きくて水草が少なく魚が多い湖」の、どちらかの状態で安定すると、似た説を…

水草は基本的に繁殖力が強い

日本の川や湖といった水辺は、近年の水害を思うまでもなく、非常に撹乱が大きい環境です。こういった撹乱が大きいところに生える水草類は、短期間に成長・繁殖する、生態学の概念でr戦略をとる種類が多いです。NHK趣味の園芸でビオトープを取り上げた記事で…

ビオトープでアマガエルを育てよう

近所の田んぼから10尾強連れてきた赤ちゃんアマガエル、うち3尾が大きく育って、トウモロコシ畑で休んでいました。色が目立たないからでしょうか。 ここまで生き延びたものの、まだまだ危ない行動をします。昨日の夕方、クリ(8歳の柴犬)の散歩に出るときに…

霞ヶ浦の生シラウオ丼

先週は調査で宍道湖にいました。シジミで有名な宍道湖ですが、かつては他にも様々な水産物が漁獲されていて、宍道湖七珍と言われていました。その七珍のうちワカサギやウナギの漁獲は1993年から2年で激減、現在まで復活していません。シラウオは採れたり採れ…

宍道湖でシオグサ補食候補が激減!

東大学部生のフィールドワーク引率がてら、宍道湖のフナムシ調査を行いました。1996年当時、島根大学の学生だった方が詳細な分布調査をされていました。その方から正確な調査地点情報をいただき、1996年当時に「うじゃうじゃいた」地点を回ってみました。 ほ…

日本の生態学者は農薬メーカーの御用学者?

日本の生態学者は、農薬が生態系に与える影響を軽視するか無視していると感じています。最近でた本でも、ネオニコチノイドについて言及したのはたった1ページ、かつ、ネオニコチノイドの影響の過小評価につながりかねない文章です。農薬メーカーにとっては…

水草と塩分

5月に宍道湖で取ってきた雑種ツツイトモを淡水を満たした火鉢水槽にいれておいたら、採ってきた覚えのないヒルムシロ科水草が生えてきて、今日は花がついてました(写真の中央付近)。汽水性の雑種ツツイトモはあっというまに消えたのですが、宍道湖には淡水…

水圏環境学

本郷で開講した水圏環境学、成績を付け終わり、今年度も終了です。今年度は、これまでで最もできの悪い講義でした。原因は、昨年起きた西日本豪雨です。昨年度の講義終了後に起きたこの災害、実は2008年の開講時から、「近いうちに広域で洪水、土砂崩れが起…

ラッキー!

10年ぶりに本気出して書いた論文が査読から戻り、修正しています。査読者から指摘されたことに回答するための証拠って、フィールド系の場合は実験し直す、観察し直すことはほぼ不可能なので、既報から使えるケースを探すことになります。おもしろいことに、…

国の統計は役立たず!

ワカサギの漁獲量が全国的にはどうなっているのか、政府統計を調べました。2016年の漁業統計は下記にまとめられています。 www.e-stat.go.jp湖沼での漁業は「内水面」としてまとめられており、2016年の「内水面漁業漁獲量 (1)都道府県別・魚種別漁獲量」のエ…

カエルグッズ

また買っちゃいました。。。 下の写真は前からいるカエルグッズのほんの一部です。置物から始まり、文房具、石けん入れ、温度計など、カエルがあしらってあれば衝動買い。海外でも時間さえあればカエルはいないかと探し回っています。 いまのところカエルグ…

魚が多いのは人工湖岸で水草も生えない湖

日本の湖での漁獲量の多くは二枚貝のシジミですが、シジミを除くとワカサギ、シラウオ、エビ、鯉・鮒などが主要種です。下記はそのワカサギ、シラウオ、エビの漁獲量トップ5県で、茨城は「霞北」で採れていることが分かります(出典はH30年「霞ヶ浦北浦の水…

WANTED フナムシ情報

ゴキブリに似ていると嫌われがちなフナムシですが、個人的にはつぶらな瞳が可愛い生物だと思ってます。そのフナムシ、私が子供の頃(1960年代)、父に連れられ大和川の河口でハゼ釣りをしていたとき、打ち上げられた緑藻類にフナムシがたかっていて、きれい…

汽水域を守る人達

日本水環境学会汽水域研究員会は、汽水域の研究に関する情報交換や社会への還元を目的に、主に物理・化学系の研究者で構成されています。汽水域は塩分成層や高濁度層が形成されやすく、そのため貧酸素化も容易に起こる特徴的な水域です。そのような水域の物…

5年後の宍道湖漁業は?

日本の川や湖沼はつい戦前まで、水草が洪水や台風による波浪などで一掃される自然環境にありました。湖では加えて、水草を徹底的に刈り取って肥料にしていました。もし水草を刈り取らなかったらどうなるか。下の写真は東シベリアの最大水深1mの湖沼です。基…

シオグサは塩水に生えるにあらず

宍道湖ではシオグサと呼ばれる底生緑藻が異常繁茂していて、一部の地元研究者が「塩分が高くなると、もっとひどいことになる。」と言いふらしているようです。 シオグサ属(Cladophora)は名前に「塩」とありますが、淡水から海水まで幅広く分布し、海外では…

川えびを食べよう!

茨城県にある霞ヶ浦北浦は、川えび(テナガエビ)の漁獲量が全国一なんだそうです。霞ヶ浦西浦(西側にある、いわゆる「霞ヶ浦」)よりも集水域が少なく、水田からの殺虫剤が少ないからだろうと思います。エビ類は昆虫と同じ節足動物なので、ネオニコチノイ…

当たれ!宝くじ

バイカル湖が一段落したので、しばらく行けてなかったミンダナオの沿岸生態系保全の仕事をしようと、助成申請書作りに励んでいます。学振の二国間など政府がからむ予算は、フィリピン大学がパートナーでないとフィリピン側で落とされてしまうので、今回は民…