陸水学・水環境

対露支援

4月23日記事でご紹介した通り、バイカル湖への排水規制を緩和する法律は廃案になりました。これを受けてロシア政府はバイカル湖への汚濁物質流入負荷の削減に取り組むことになり、廃案への呼びかけの中心となったLimnological Institute(陸水学研究所)の所…

水草堆肥化は税金の無駄遣い

宍道湖では異常繁茂するようになった水草を、堆肥にして有効利用しようとしています。https://mainichi.jp/articles/20180924/k00/00m/040/048000cこれは税金の無駄遣いにしかなりません。なぜか。1950年代まで肥料用に水草を採草していたのが廃れたのは、除…

リュウノヒゲモ

リュウノヒゲモは日本各地で絶滅が危惧されている水草です。宍道湖では、同じく絶滅が危惧されているツツイトモが湖内の広範囲に生い茂り、湖底のヘドロ化や酸欠を招き、二枚貝シジミの大量斃死の原因になっていると疑われていました。その宍道湖と周辺の水…

バイカル湖のマイクロプラスチック汚染

バイカル湖のマイクロプラスチックについて、マイクロFTIRを使って成分構成も明らかにした研究が、ヘルシンキで開かれるSETAC EUROPE 29th ANNUAL MEETINGで、5月27日(月)にポスター発表されます。ポスター番号はMO250です。バイカル湖については、世界で…

宍道湖、卒業します!

20歳から続けてきた宍道湖研究、発端は宍道湖淡水化問題で、淡水化したら底生動物はどうなるかで卒論・修論を書き、中でもヤマトシジミがいなくなることで水質がどうなるかで学位を取りました。以来、手を変え品を変え助成金を取り続けて研究を続けていたと…

天の声

2015~2018年度に科研費を頂いて行った「バイカル湖における富栄養化にともなう生態系変質リスクの検証」の報告書を先ほど提出しました。バイカル湖は貧栄養湖なのに多くの魚がとれる生産性の高い水域です。その原因はサンゴ礁のように、共生藻を有する海綿…

水科学リテラシー

知人から「これ、なんかうさんくさいんだけど、きちんと説明できない」と相談を受けた「特定の鉱石から抽出した多種のミネラル(微量元素)を含む液体」とされる商品。その会社のホームページに下記が書かれていました。 ・鉄は酸化しない限り溶け出すことは無…

上流県の下水は下流県の上水

今週は複数科目のオリエンテーションで、表題の内容を学生にチラっと話したら、今年もやっぱり「へ~!」という表情でした。 たとえば柏キャンパスの水道水は利根川から取水している上水場から来ていますが、利根川の水源は群馬県にある山で、群馬県の下水は…

水から環境を考える原点

2018年11月5日に第45回環境保全・公害防止研究発表会で、「見えない公害から地域住民を守る」と題して特別講演を行いました。その口述原稿の要約が「全国環境研会誌」第44巻第1号に掲載されました。講演に使用したパワーポイントは2018年11月15日記事からダ…

なぜネオニコチノイド殺虫剤の研究は不採択なのか?

4月1日は多くの研究者にとって、すごく心臓に悪い日です。科研費の採択結果が発表されるからです。私は科研費2件と民間団体の助成を1件応募していて、科研費の1件はこれまでの成果を書籍として出版する内容、残りの2件はネオニコチノイド殺虫剤が内水面…

バイカル湖危機対応

昨日の英語記事を読んでいただいた方には繰り返しになりますが、ロシア当局はバイカル湖への汚水規制を緩和する法律を準備しています。 ロシア人共同研究者が「それは科学的におかしいと当局に手紙を送ってくれ。また知り合いにもそうするよう伝えてくれ。」…

Help needed - Lake Baikal

Dear Colleagues, My research colleague, Professor Oleg Timoshkin from the Limnological Institute in Irkutsk, Russia (he provided your e-mails), recently contacted you asking for your help in opposing a Russian government proposal that woul…

小川原湖産と思われるシジミにも異変

昨年末に、茨城県涸沼のシジミに殻皮剥離が起こっているとお伝えしました。青森県十三湖産は起こっていませんでした。今日、昼休みに行ったスーパーで「青森産」と表記されたシジミを売っていて、これには殻皮剥離が起こっていました。青森県では十三湖以外…

底生緑藻異常繁茂に関する国際ワークショップ

今日0時、そろそろ寝ようかと思ったところに、アメリカの友人からのメール。秋にアメリカのタホ湖で糸状藻類の異常繁茂に関する国際ワークショップを開きたいのだけれど、旅費は出すから来ない?アメリカとニュージーランドの研究者が集まる予定なんだけど、…

沖縄本島北部で見つかったジュゴンはどこで餌を食べていたのか?

沖縄本島北部の沖合で絶滅危惧種のほ乳類・ジュゴンの死体が発見されました。 沖縄付近に生息していた個体なら、北限のジュゴンがまた1頭、減ったことになります。 私は以前に天草で死んでいたジュゴンを分析して、この個体は天草に住んでいたのではなく、…

陸水研OG・田邊優貴子さんの論文がScientific Reportに載りました

陸水研OGで「極ガール」として知られる田邊優貴子さんの筆頭論文が、昨日公開されました。Scientific Reportsvolume 9, Article number: 4639 (2019) 彼女が陸水研でポスドクをしていたときに、当時修士学生だったH君と南極で取ってきたデータや化学分析結果…

琵琶湖でアオコが発生するわけ

私は2012年頃から「窒素やリンが多少減っても、水草が生えるとアオコが発生しやすくなる」と主張していました。同じ頃から糸状藻類が生態系にダメージを与えると宍道湖・バイカル湖の実態から確信し、その防止策を検討してきました。しかし生態学者を中心に…

日本が環境保全先進国なんて大ウソ

昨年2月8日のブログで、メスだけで増える不気味な外来種についてご報告しました。下記、地元誌にはメスだけで増えると明記されていないので、駆除不能になる危険については周知されていないかもしれません。 また、新聞記事ではなぜオーストラリアのカブトエ…

越境大気起源窒素とリンが日本の陸水環境に与える影響

表題の依頼講演を、5月18日に北九州市で開催される分析化学討論会で行います。北九州も含む日本海側では、中国から窒素酸化物だけでなく、石炭燃焼によるリン(水銀も含む)も飛来します。国境無き汚染にどう対処するか。。私の講演は熊本大学の戸田先生がオ…

私達の世代で湖は変わってしまった

アメリカの五大湖には、スペリオル湖を除いてZebra musselおよびQuagga musselと呼ばれる外来二枚貝2種が大量に繁殖して、下の写真のように大変なことになっています。 (出典:https://winnipeg.ctvnews.ca/zebra-mussel-spread-prompts-concerns-about-vi…

欧米では水道水は飲むものではない

下図は国交省がまとめた平成16年版「日本の水資源」の「第Ⅰ編 水資源に関する日本の課題,世界の課題」40頁からです。39頁には「海外へ行けばしばしば経験するように,水道の水をそのまま飲める国、あるいはそのまま飲めるが注意が必要な国は、世界の中では…

外来シジミ貝、5ヶ月で75倍に成長

クリ(7歳の柴犬)と散歩していて、稲作期にしか水が無い水路に、白い貝殻が点々としているのに気づき、いくつか拾って帰りました。 下の写真では上下同じ貝殻の表裏を並べています。上の写真の一番右のはマシジミに近い黒っぽい色、その隣のは明らかに外来…

なぜ水道民営化で困るのか

水道民営化でググルと3660000件もヒットします。ホットな話題になっているようです。水道には上水道と下水道があります。下記Yahooニュースの図で見ると、私が生まれた1960年頃の上水道の普及率は、まだ50%に達していませんでした。https://news.yahoo.co.j…

湖沼の漁獲量が減少する主要原因はラン藻の優占とネオニコチノイド(一部は水草の過剰繁茂)

日本の湖では漁獲量が減少の一途をたどっています。その原因はバスやギルなどの魚食性外来魚とした論文もありますが、この論文は「現場を全く見ずに統計だけで検討すると、こんなデタラメなことを発表してしまうのですよ。」という典型例です(生態学者の論…

シジミ戦国時代

Googleで「タイワンシジミ」と検索すると、67400件もヒットします(1月23日現在)。トップはWikipediaで、「学名Corbicula fluminea、雌雄同体で淡水域に住む二枚貝」と説明されています。このWikipedia頁の左側にある「English」を押すと英語での説明がでて…

茨城県でもネオニコチノイド使用量が激増

1月9日記事で島根県のネオニコチノイド系殺虫剤の出荷量推移を紹介しました。同じデータベースを使って茨城県版を作ってみました。 まず驚いたのはその量の多さ。2016年で比較すると、島根県の約4倍でした。また7種類全て使っている点も、島根県と異なりまし…

環境科学に感性はいらない

私は日本での定説に反して、ヨシの植栽は有機物を減らすという意味での水質浄化にはならないとか、霞ヶ浦にアサザを植栽することは自然再生にならないと、一貫して主張してきました。最近は私の主張がようやく受け入れられていると感じますが、なぜ当初から…

島根県ではネオニコチノイド使用量がウナギのぼり

1月5日記事で宍道湖でオオユスリカが消えたという研究を紹介しましたが、それに関連して、島根県におけるネオニコチノイド系殺虫剤の出荷量を調べてみました。データは国立環境研究所が編集している農薬データベースからです。結果は下記の通りです。宍道湖…

日本の水辺にはもっと虫がいた

今日の山陰中央新報で、私の研究が紹介されました(末尾の写真)。 宍道湖では1992年まではオオユスリカという昆虫が大量に羽化し、車がスリップしたり、前が見にくいなどの被害が出ていました。今はオオユスリカは全く生息していません。この虫は貧酸素にと…

十三湖シジミにも何かが起こっている

年始早々、イオンの夜市(毎日16時以降特定商品が割引)に行ったところ、ここ数ヶ月見なかった十三湖(青森)のシジミがありました。涸沼(茨城)のシジミのような殻皮剥離(12月9日記事)は起こっていませんでしたが、「え?これが十三湖産?」と驚くほど小…