研究集会報告

私達は知らぬまにどれほど化学物質に汚染されているのか

環境ホルモン学会の講演で、日本人がどれくらい非意図的に化学物質を取り込んでいるかの調査報告として、「日本人における化学物質の曝露量について2017」が紹介されていました。 日本の過去の調査と比べて今回の測定値がどうかというコメントが中心でした。…

学会発表に見る農薬の脳への弊害

昨日の環境ホルモン学会では、「パーキンソン病の原因環境化学物質ー農薬の危険性」とのポスター発表がありました。要旨集の文章を要約します。 「1976年、偶然合成されたMPTPがサルにパーキンソン病を起こすことが分かり、類似構造をもつ農薬であるパラコー…

ASLO 2017 Aquatic Science Meeting報告

アメリカでは今後の温暖化による悪化の懸念もあり、アオコに関するセッションが丸3日ありました。日本でも宍道湖や霞ヶ浦で近年(2012年)ひどいアオコが発生しているので、海草や古陸水学セッションのどうしても聞きたい講演以外は、2日目からずっとアオコ…

陸水学会那覇大会一般講演から

会長なんてなるものではなく、会期中は大会・学会運営の諸事に忙殺され、一般講演はほとんど聴きに行けませんでした。 なので要旨を読んだだけなのですが、「2A07京都大学総合博物館(京都市左京区)に収蔵されている膨大な未整理の陸水生物標本(大正〜戦前…

好評でした!陸水学会那覇大会

80年以上もの陸水学会の歴史の中で、初めて沖縄県で開かれた今年の大会。11月3日に一般公開にした底生動物(ベントス)同定会は、80人前後の参加者があったそうです。米軍の子供達も動物を持ち込んで参加してくれました。 公開シンポジウム「沖縄の陸水環境…

哺乳類学会自由集会「出産・育児と研究の両立をめざして」

9月20日記事でご紹介した表記集会に参加しました。 理系講演者4名のうち、お一人はご主人と生後3ヶ月の第3子とともに登壇されてました。お二人とも研究者です。それでも3人のお子様を育てて研究も両立できるというメッセージは、後輩にとって、とても勇気…

水質事故の実態

9月13日に秋田県立大学で開催された水環境学会シンポジウムで、私が所属する「身近な生活環境研究委員会」では「いま、身近な水環境へ排出されているもの ― 有害化学物質を中心に ―」というタイトルの講演会を開催しました。全5題のどれもが大変興味深い内…

下水処理場からの排水が水道水の原水

今日、明日と秋田で開催されている水環境学会シンポジウムに参加しています。 初日の今日は午前のセッション「いま、身近な水環境へ排出されているものー有害化学物質を中陰に−」で総合討論の座長を務めました。内容は別の機会に改めてご紹介します。 午後聞…

ユスリカ減少の原因はネオニコチノイド系農薬か?

18日午前の水環境学会年会では「毒性・健康影響」のセッションを聴講していました。お目当てはネオニコチノイド系農薬に関する発表。ユスリカに対して、実環境(河川)中での濃度が影響を与えるかを実験していました。 使われた農薬はイミダクロプリドで、ユ…

異分野の学会に参加する意義

今年の脳脊髄液減少症研究会で一番感激したのは、人が動いている状態と横臥している状態での脳脊髄液の状態の動画ビデオでした。ちょっと首を動かしただけで、脳のある部分では髄液が激しく動いている一方で、ある部分ではほとんど動いていません。一方その…

脳精髄液減少症と子宮頸がん関連神経免疫不全症候群(HANS)との関係

6年ほど前に、外傷性であることと起立性頭痛を除けば、脳脊髄液減少症の症状は化学物質過敏症、慢性疲労症候群、線維筋痛症と重なる部分が多く、なぜこれらの症状が似ているかを検討することから発症メカニズムが分かるのではないかと書いたことがありました…

第15回日本脳脊髄液減少症研究会

本日・明日と第15回日本脳脊髄液減少症研究会が開催されています。 脳脊髄液減少症によって視覚障害が起こっていること、そのメカニズムが明らかでないことに関する発表が2件ありました。その中には驚いたことに、緑内障の進行がEBPにより停止して改善したと…

陸水学会に超若手登場!

今日の陸水学会函館大会では、第2回陸水動物ベントス同定会を開催しました。のべ30人ほどの参加を頂き、学生さんが持ち込まれたサンプルを中心に、同定のキーを解説しました。 参加者の最若手はとてもベントスに詳しく、ディスプレイに映された画像を見るな…

世界の大都市との比較

15〜17日の予定で、TRUCプロジェクト(地球温暖化リスクへの対処を世界の大都市で比較するプロジェクト)の会議がドイツシュツットガルトで開かれています。私はまもなくミンダナオ調査なのでパスして、PDのY君に代理参加してもらっています。 そのY君からメ…

水草による水質悪化

今回の水環境学会では、水草による水質悪化をテーマにした口頭発表が、少なくとも3つありました。有明湾に注ぐ河川でのヨシゴミ、猪苗代湖でのヒシやヨシを含む大型植物枯死体からのCODやリンの溶出、そして伊豆沼におけるハス枯死体による難分解性有機物の…

ネオニコチノイド系農薬が水環境に与える影響

水環境学会に来ています。 本日午前はネオニコチノイド系農薬関係の発表を聞いていました。 ネオニコチノイド系農薬は、有機リン系よりはるかに安全で生態系への影響も少ないとして広範囲に使われるようになりました。しかしEUではミツバチに深刻な影響を与…

ヨシ、アサザ、癌

昨日、本日と応用生態工学会に出ていました。 昨日のポスター発表で、琵琶湖の水草視察でお世話になった、浜端悦治先生の学生さんが発表されていました。ご説明いただいたあと「浜端先生によろしくお伝えください。」と言ったら、先生は7月に癌で亡くなられ…

水域における自然再生事業と環境教育

陸水学会企画委員会主催公開シンポジウム「環境教育と陸水学〜善悪を超えて」、約140名の参加をいただき、無事終了いたしました。質疑討論の時間が十分に取れなくて残念でしたが、多くの方から「よい企画だった」との評価をいただきました。 以下に私の発表…

生物の正確な同定無しに生態系保全はできない

陸水学会企画委員会主催の課題講演 「陸水生物の分類と生物地理−研究の進展と展望−」(コンビーナー:野崎健太郎(椙山女学園大学教育学部)・谷田一三(大阪府立大学理学系研究科、大阪自然史センター、豊田市矢作川研究所)は、聴講者で会場一杯。活発な質…

現場から遠ざけての環境教育

8月4日記事でご紹介したシンポジウム「おもしろい水辺 水辺に興味を持ってもらうために」に参加しました。高校生の生の声も聞くことができ、いろいろ参考になりました。 中でも考えさせられたのは、某都立高校教員の方からの報告。高校の生物の学習指導要領…

小学校での理科実験

昨日は研究実験施設・環境安全教育研究会に行ってきました。この研究会ではかねてより大学を対象に学生の実験環境の安全確保に力をいれてきたのですが、大学に入る以前に問題があるのではということで、今回は小中高等学校を対象にした発表が多くありました…

第9回シジミ研究会(2)霞ヶ浦水でもシジミは育つ!

21日のシジミ研究会で、霞ヶ浦湖水を使ったヤマトシジミ育成実験が紹介されていました。涸沼から採苗したシジミ稚貝をネットにいれて霞ヶ浦に垂下して飼育したところ、涸沼で同じようにして飼育したものよりも生残率が高く、生長量は涸沼と変わらなかったそ…

第9回シジミ研究会

表記研究会に参加しました。シジミが取れるところは汽水湖が多く、国内の面積が大きめの汽水湖はこれまでに一度は行ったことがあるものが大部分なので、どの水域のお話も懐かしくうかがっていました。 特に面白かったのは、修論で研究対象としたパンケ沼(天…

フィンランドには5000を越えるラグーンがある −VI EUROLAG & VII LAGUNET Conference情報

VI EUROLAG & VII LAGUNET Conferenceでの「おもしろかった大賞」は「フィンランドには5000を越える小さいラグーンがある」 ラグーンは砂州で湾が閉じてできる場合が多いので、小さなラグーンはすぐに埋まります。何でフィンランドには小さなラグーンが5000…

地理学は生きる力!

今日は日本地理学会主催シンポジウム「地理の魅力再発見!〜未来を創る地理教育〜」パネルディスカッションで、コーディネーターを務めました。 こういうシンポジウムに参加するような方々だけに(旭川からわざわざこのためだけに来られた高校の先生もおられ…

農薬変化体の塩素処理副生成物

「農薬は、環境中に積極的に散布された後に降雨などにより環境水中に流入し、環境水中で様々な反応を受けて農薬変化体(Pesticide Transformation Products in Water environments: PTPWs)を生成する。その後、浄水場で取水され塩素処理を受けて、農薬およ…

ヨシによる負荷、プールの塩素処理副生物

本日の水環境学会の発表から、特に印象に残った2題です。 ーーーーーーーーーーーーー 2A09-1 河道内を起源としたヨシの流出分布とその特性 河道から流出するヨシが水質に与える影響を調査。枯れたヨシにペンキを塗って、その面積の減少から流出量を見積も…

ニセ科学? −EM菌、アサザによる水質浄化

今日は水環境学会のシンポジウム「水に関する情報発信・啓発の課題とその解決策」に参加しました。 ニセ科学問題に詳しい菊池誠先生からは「科学とニセ科学:特に水をめぐって」とのタイトルでご講演いただきました。水環境学会会員で自治体職員の少なからず…

ドライアイスの竜巻

6月13日付記事でご紹介した池田先生主催「竜巻セミナー」に参加しました。写真のようにペットボトルを切り込んだもの、お皿、ドライアイス、掃除機と、一般家庭でも簡単に入手できるものだけを使って、ミニ竜巻ができました。台風は反時計回りなのに竜巻はな…

順応的管理

環境水理部会研究集会で発表しました(要旨はこちら)。 中海の本庄水域はかつて干拓が予定され、堤防に囲まれていました。私たちは、それがかえって中海本体よりよい環境を維持していると主張していました。しかし「堤防を開削すれば堤防設置以前の環境に近…