山本地方創生相の「学芸員はがん」発言に対する日本陸水学会の見解

山本地方創生相の「学芸員はがん。一掃を」発言について、日本陸水学会会長としての見解を学会ホームページにアップしました。
http://www.jslim.jp/?p=1852
大臣個人の資質を批判したものではなく、その背景にあると思われる地方創生に対する考え方についてコメントした内容になっています。
陸水学会では山本発言の直後から、学会として意見を表明すべきとの提案が為され、昨週末まで評議員会で議論を重ねてきました。提案いただいた方、議論を深めていただいた方々に感謝申し上げます。

以下は私の個人的な補足です。
今回の山本氏の発言は、観光振興を進める上で学芸員が妨げになっているという趣旨を言いたかったのでしょう。ですが、観光振興という経済効果のためには他に重要な役割も担っている学芸員を「一掃する」とまで発言してしまうような経済最優先思考で政策を進めることが、本当に豊かな地方創生につながるのでしょうか。
少し振り返ってみただけでも、活性化につながると道路網を整備することで地域の商店街が廃れ、全国どこに行っても似たような大型モールが増えました。生徒や高齢者の足である鉄道が衰退し、免許を返納すれば移動が困難になるために高齢ドライバーが増え、事故が続出しています。
そして何より、地域固有の自然が経済効果との天秤で常に犠牲を強いられてきた結果、ふるさとの動植物が一変してしまった地域がいかに多いことでしょう。
総合科学である陸水学は、経済効果につながることを研究することはもちろんのこと、経済効果だけではなく、持続可能で豊かな日本の水環境の在り方を検討することができる学会だと考えています。このような背景から、会長就任時の挨拶でも社会貢献の重要性を指摘させていただきました。今回の見解表明は、その一環と考えています。
http://www.jslim.jp/?p=1257
今後とも地域固有の陸水環境を守って行くために、学会としてできることに取り組んで行く所存です。みなさまのご支援、よろしくお願いいたします。また地域で相談したいことがあるけれど、誰が陸水学会会員なのか分からないなどのお問い合わせがあれば、「学会全般に関するお問い合わせ」もしくは私宛にご連絡ください。対応を希望する会員がいれば紹介させていただきたいと思います。