水質浄化を目的とした浚渫事業

平成15年度の長野県公共事業評価監視委員会のホームページには、下の方にスクロールすると「見直し内容はこちらに」という欄があって、PDFファイルで内容の一覧を確認することができます。その中で諏訪湖の浚渫を中止した事による縮減事業費として、133億円とありました。

浚渫ってそんなにお金がかかるの?と思って霞ヶ浦を調べてみたら、直轄総合水系環境整備事業費というのがそれに当たるとすれば、平成17,18年度はそれぞれ約50億円使うことになっていました。霞ヶ浦では、この事業(=大規模浚渫事業)を平成4年度から行っているということですので、仮に同じ額を平成4年度から行っていたら、15年x50億円で750億円です。関東地方整備局のホームページを見たら平成22年までこの事業を行うとなっていましたので、来年度を含めてあと150億円くらいが投じられるわけですね。

これほどの巨額を投じた結果、水質はどれくらいよくなったのか。そのモニタリングと検証は、全予算の0.1%(7500万円)もあれば十分できると思います。科学者としても、地元住民としても、事業をやりっぱなしにするのではなく、きちんとモニタリングと検証を行うことを強く希望します。たとえ効果が無かったとしても、前例のない大規模浚渫は想定されたほどの効果がないという、実証となります。

8月14日にご紹介したDutch Platform on Lake Restorationでは、「site overview」をクリックし、さらに個々の湖沼名をクリックすると、対策前の状況、復元方法、それによって状況はどうなったかが詳しく書かれています。失敗例も漏らさず記されているので、非常に参考になるのです。

科学技術の進歩は、単純なサクセスストーリーの積み重ねではありません。失敗もあり、偶然もあり、大切なのは、すべての事実から合理的な解を導くことの積み重ねだと思います。