ジャニーズ性加害問題と農協

昨夜はジャニー喜多川前社長をめぐる性加害問題の「外部専門家による再発防止特別チーム」記者会見ニュースが、かなりのメディアで取り上げられていました。

「ジャニー氏の性加害の問題については、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、2023年3月にBBCが特集番組を報道して、その後、元ジャニーズJr.が性加害の被害申告の記者会見を行うまで、多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった。」
は、農薬被害をマスメディアが報道しない現状に共通すると思いました。私がScience誌に「ネオニコチノイド系殺虫剤によって餌が減ったために宍道湖でワカサギとウナギの漁獲量が激減した」と公表した際も、主要新聞などは報道していましたが、テレビは地元だけでした。ネオニコ問題をまともに取り扱ったマスメディアは、おそらくTBS報道特集だけだと思います。

「農薬で利権を得るのは農薬メーカーと、天下りのためにメーカーの利便を図っている農水省の官僚」との指摘があります。私自身は、官僚は天下りのために意図的にそうしているのではなく、単に無知なのだと思っています。

官僚より問題なのは、農薬を地元の農業者に一手に斡旋している農協です。前の年に、翌年どれだけ買うべきかアナウンスし注文を取り付けています。害虫がわかないかもしれない、雑草が生えないかもしれないのに確実に売れるわけですから、農薬メーカーとしては、これほどおいしい商売はありません。当然ながらある程度のマージンが農協にも確実に入ります。農協は農民の味方と思われているので、マスメディアは切り込むのを躊躇しているのではないかと思います。

農家さんはメーカーではなく、同じ地域にいる農協さんから使うよう指導されているから、農薬をまき続けているのでしょう。それは1950年代半ばに農協から指導されて除草剤をまき、それまで肥料に使っていた沈水植物が消滅した事例からも分かります(下記、拙著)。

農薬使用をやめ日本の自然を少しでも回復させ、ヒトの健康も守るのに最も有効なのは農協という組織をつぶすことではないかと、私は思っています。実際、農協と決別して循環型農業を選び、町自らが米販売を手がけることにした奥出雲町は仁田米をブランド化することに成功、日本農業遺産に選ばれました。今は世界農業遺産を目指しています。