怪しいかもの「ナラ枯れ」

昨日の「TBS報道特集」は「ナラ枯れ」を取り上げていました。主役は京都府の公務員さんでした。京都では関東よりも早く被害が増加していたそうです。
その公務員さんが言っていたと記憶しているのですが、ナラ枯れが増加している原因は、
1)木炭やマキを使わなくなったことからナラの更新がされなくなり、被害にあいやすい老木が増えた。
2)温暖化で害虫(カシノナガキクイムシ)の活動期間が増えた。

もしそうならナラ枯れはナラの更新がおこなわれなくなってから増加し続け、近年は温暖化で拍車がかかったハズです。しかし林野庁のサイトで確認したところ、H22年にピークになった後、被害は減っていました。

ナラ枯れ被害:林野庁

一時減ったことを中心に仮説を立てると、1)の次に、2)カシノナガキクイムシの天敵(昆虫)が遅れて増加して一時的に被害が減ったが、何らかの原因で天敵が減って再び被害が増加し始めた、があり得そうです。

そこで「ナラ枯れ」「天敵」で検索したら、下記がヒットしました。天敵による被害抑制説、やはりあったのですね。「TBS報道特集」では全く触れてませんでしたが。。

カシノナガキクイムシの天敵 ルイスホソカタムシ

天敵が定着すると、被害が再拡大することは滅多に無いはずです。そして少なくとも、ナラ類が更新されなくなったことが主因ではありません(それが主因ならずっとナラ枯れが増加し続けているハズ)。これは怪しいと思い、農学・林学関係の知人に問い合わせを始めました。

ウチの卒業生がひとりNHKに就職しましたが、私が知る範囲ではマスコミ関係者の理系比率は極めて少ないです。理系ならすぐに「これは怪しい」と思うことが、文系ディレクターだとヤスヤス信じてしまいがちです(かつてはNHK教育が、アサザ植栽を推奨していました)。そしてマスメディアで報道されてしまい、それを文系が大多数の日本人が信じてしまう。負の連鎖ですね。

(追伸)
報道特集は持ち時間が限られていますから、もしかしたら文系が多数派の日本人に分かりやすいように、あえて理系的データを除いた可能性もあります。なので「更新や温暖化が原因と判断した、番組では流さなかった証拠があったら教えてください。」と問い合わせました。