あなたはロールモデルをイメージできますか?

前職場の産業技術総合研究所で開かれた「第2回DSOセミナー(ロールモデル)との懇談会)研究。あなたはロールモデルをイメージできますか?」に参加しました。産総研では科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」が採択され、その事業の一つとして開かれたセミナーとのこと。
ロールモデル」というのは、自分の将来はこうなりたいというイメージを具現化している人のことで、今回は女性教授の方と、産総研地質情報研究部門の富樫茂子部門長が講師をされました。
富樫部門長は、産総研第7事業所の前身である地質調査所で、女性で初めて部長になられました。二児の母で、企画室付けを併任されていた時(旧国立研究所では、研究者が官庁に出向したり事務・企画部門に何年か移動するのは当然のことでした)に三宅島が噴火し、お子さま二人を机の側に座らせて夜中まで仕事していたなどの逸話も伝わっていました。ご専門も地球化学と私の専門に近かったことから、富樫部門長は私にとって頼もしいロールモデルです。
管理職でお忙しくされていたので、ゆっくりお話をうかがう機会がないまま大学に出てしまったのですが、今回のセミナーで、なぜ地学を志したのかを子供の頃の経験に遡ってうかがうことができ、その後、地質調査所で経験されたことのお話などもとても参考になりました。
教授の方は、いろいろ大変だったというお話が多かったのですが、富樫さんのお話は「女性だからという差別はなかった」「プロジェクト研究と基礎研究の二足のわらじで続けた」「子育てはみんながやってくれた(今の人は自分で頑張り過ぎてると心配)」と、たくましいというかポジティブというか、いかにも富樫さんらしいお話でした。
私の世代は「男女雇用均等法」後に就職していて、セミナー後の意見交換でも同世代の産総研の研究者から「女性だったので、逆に有利だった気がする」という発言までありました。大学ではこの頃でも、女性だから有利という状況はなかったのかもしれません。
「ということで、私たちの世代はとても恵まれていたと思いますが、今ポスドクで入っている女性研究者は、任期内に成果をあげなくちゃいけないから結婚もできない、子供も産めないと、常勤の方をロールモデルにできないと思います。その辺はどうでしょう?」と富樫さんに質問しました。重要な問題と認識している。経費的な措置がつかないので現状では難しいが、いずれはポスドクでも出産が不利にならない制度にしていきたいと、前向きな回答をいただきました。
何といっても、病気や休園などで保育園がみてくれないときに面倒をみてくれるという、たぶん全国でもここだけではないかと思われる保育施設が構内にある産総研。私にとって、研究だけを考えるのならベストに近い職場であったように、これからも女性研究者が働きやすい場であってほしいと思います。