ネットの力

フィリピンの洞窟性カニ類の分類を研究しているD1のH君、形態と分子生物学の両方を使って分類学的な研究をするだけでなく、それぞれの種が各洞窟で何を餌にしているかも安定同位体比を使って調べたいと希望してきました。確かに、そのテーマは面白そう。
とは言え、洞窟のカニ類はそれほど個体数が多いわけでなく、その為に新たにサンプルを採るのはできれば避けたく、分類の為に多めに取ってきてホルマリンやエタノールで固定しているサンプルを使えれば嬉しいとのこと。
そう言えば数年前に、ホルマリンサンプルを使える・使えないと言う議論はあったような気がするけど、エタノールだと窒素だったら大丈夫だったけ。。。
こういう時に頼りになるのが、Isogeochemとい名称の、主に生元素の自然界における安定同位体比研究関係者が登録しているメイリングリストです。
世界中の研究者、大御所から学生まで、様々な方々が登録されていて、日々、議論が交わされています。英語が母国語でない研究者も大勢いるので、最近とみにボロボロな私の英語でも結構意を汲んでくださいます。
今回は日本時間の20日20時に下記を投稿しました。

Dear colleague,

I need your help.
My student is studying cave crabs, some of which may be rare to the specific cave.
His major theme is systematics, but he also likes to know what is the major food source for each crabs.

Is it possible to use ethanol or formalin preserved specimen to analyze d13C and d15N?

I remember the similar question was raised before, but I did not keep the answer mail at that time.

I would appreciate any information how to analyze the trophic level of carb. Do you remove the shell of the crab?

Sincerely,
Masumi

今見返すとスペルミスもあるし、まるで小学生の英語ですね。
それでも21日0時半までに、4通のメールを頂きました。ひとつはメール本文でアイディアを紹介してくださり、ひとつは文献情報、2つはパブリッシュされたPDFを添付で送ってくださり、最後はProof段階の原稿を添付で。この最後のProofのは、一番知りたかった、キチン(カニの甲羅の成分)の取り扱いについてだったので、すごく助かりました。

もちろんISIとかScience Directとかで文献検索という手もあるのですが、こういうメソッドに関わることは、実際にやっておられる方とお知りあいになれるメイリングリストの方が、具体的にどうやるのかわからなくなったときにお尋ねできるというメリットがあると感じています。

国際的なメイリングリストに入ると迷惑メールが格段に増えるので、私が入っているのはこのIsogeochemとSeagrass関係だけですが、どちらも、どうして世の中こんなに親切な人がい多いのだろうと驚くばかりに素早く的確なコメントを頂けるので、とっても重宝しています。