ナマコと水質

Ship&Ocean Newsletter 187に、日本で「も」ナマコが乱獲との記事がありました。
日本で「も」と「も」を強調したのは、はるか昔の学生時代、指導教官の鵜として(=ダイビングできない指導教官のサンプル採取係として)、フィジー国の首都スバから船で5時間の離島へ調査に行き、その島には全くナマコがいない、という経験をしたからでした。
調査隊のメンバーは、日本の南の島にはゴロゴロしているナマコが、その島には全くいないのにとても驚き、どうしてだろうと考えました。いろいろ議論して、一時的に捕食者が増えたのではないか、あるいは分布の中心から外れ過ぎていて、浮遊幼生が来ないのではないか、などなど。
ある日私がサンプリングを終え、ちょっと休憩と島をお散歩していたところ、向こうの方で白い煙が見えました。火事だろうか、だとしたら大変、確認しておこう。なに、岸沿いに行けば、いざとなれば海に潜ればいいと近づいたら、数名の村人達が、大きな鍋に大量に何かをいれてグツグツ煮ていました。「それ、な〜に?」と見せてもらったら、え!これナマコじゃない!聞けばナマコはこの島唯一の換金商品。定期的に中国から買い付け人が来て、煮てから干したナマコを買い取ってくれるのだそうです。だから私たちヨソモノでも見えるようなところには、もうナマコは残っていなかったんですね。
南の島のナマコ売買については、「ナマコの眼」という本に詳しいです(当の昔に絶版になっているようですが)。
当時、私は、人間がここまで完璧に堆積物食者を取り尽くしたら、堆積物の付着藻類が増えて環境によくないことが起こるのではないかと心配しました。いつか機会があったら定量的に調べてみたいと思いつつ、サンゴ礁研究から離れてもう10年近く。もうどなたかが解明しているのでしょうか。。。