雇用の現実

陸水研の現修士1年は3名。全員就職希望で一人は公務員、二人が企業を希望しています。公務員組の本番はもう少し後なので今は修論研究を進めているのですが、企業組は就活の真っ最中、大学にはほとんどいません。中でも2月初めの修士論文発表会以降全く見かけなかったM君ですが、先日、たまたま行った実験室で会いました。「就活、どう?」「いやぁ、厳しいですね。このところ毎晩のようにエントリーシート書いてますよ。面接まで行けなかったりするとめげますね。」「でも面接に時間費やした上に落ちるよりマシじゃん」と、ほとんどサクラで書類審査に通った公募のヒアリングで、不採択通知を受けたばかりの私は本音でコメントしました。
厳しい雇用情勢の報道に、戦後の就職難の時に新卒だった父は「俺の時は未曾有と言われた就職難で。。」と語り始めるのですが、その後に「教師くらいしか職がなかった」と続いたりします。「だってお父さん、今はその教師やってすごい倍率やから、親が賄賂を贈るんちゃうの」「そうやな」「それにお父さんの時代、職がなくて自殺するって、こんなに多かったん?」「なかったかもしれへん」「そやろ。ここまで働く場がないって、もしかしたら日本の歴史始まって以来の未曾有やったりして」
80歳前後と言わず、私のような50歳前後の世代からみても、たとえば地方自治体の研究所に勤めている知人とも話していたのですが、ポスドクなんて言葉はなかったように思います。あの頃は贅沢を言わなければ、何らかの研究職に就けてました。今の現実の厳しさを本当に理解できているのは、実際に職を失ってしまった方々と、若い世代だけなのかもしれません。