大洪水の川の中

屋久島調査最終日の14日は永田川を見に行きました。下の写真は横川渓谷の中程にある巨礫上の樹林です。

岩にこれくらい根が張ると、100年に一度くらいの大洪水が来ても、礫も木も流されないようです。

下の木はみな幹が高さ1m以上、半分にえぐられています。これは一番上の写真に写っている木々を裏側、つまり上流側から撮ったものです。この木があるところが既に河床から2mくらいあります。その上にある木々の幹を半分えぐるような、おそらく径が2m以上もある巨礫が、そんな高いところを流れていったことになります。いったいどんな洪水だったのでしょう。そして、その巨礫がごろごろと転がってきたのならば、こんな位置にある木がこんなえぐられかたはしないはずなので、おそらく転がるというより流れる感じで、2m以上の礫が濁水の中を下っていったのでしょう。

屋久島の川をみるたびに、こんな大きな礫が、こんな勾配の河床にあるのが、本当に不思議になります。でもその角のとれかたや、側方から斜面崩壊で落ちてきた岩との風化の度合いを比べると、それらの礫は明らかに、河道をくだってきたものです。日食をみたいとは思いませんが、そんな礫が動くような洪水時の水の中を見たいと、心底思います。その時、大きな礫たちはどんな風に流下しているのか。信じられないくらい浮かび上がったり、渦と渦でぶつかりあったり、その衝突のエネルギーで水の中で火花が散っていたりなど、想像を絶するような光景があるに違いない。