危機管理のロールプレイ

環境システムのO先生の本日の講義は、ロールプレイでした。聴講者は4つのグループに分かれ、一つのグループは新聞記者役。真実を隠蔽したがる傾向がある(?)大学に対して記者会見で攻撃的に質問し、相手の正常心を失わせて本音を引き出すことにより、社会の安全を守るという正義を追求するというスタンスです。
残り3つのグループは大学執行部役。それぞれに異なるシナリオが渡され、対応および情報要求を10分以内に行います。先生はそれを見て情報に対して回答するとともに、対応に応じたシナリオの展開が示されます。たとえば私のグループには塩素ボンベから塩素が漏洩して教授1名が意識不明、学生4名が目の痛みを訴え病院に搬送されるというシナリオが与えられたのですが、塩素ガスが漏れたと分かった時点で半径100mを立ち入り禁止にするという対応をしたので、周辺の一般住民に被害が拡大、というシナリオに進まないで済みました。
この講義には大阪大学の安全管理担当の先生も応援に来られていて、一連の対応後の記者会見について、場合によっては個人情報が特定できないように発表すること(例えば搬送先病院を発表しない)、記者会見は記事を正当に書いてもらうための情報提供と考える、などの指導がありました。「謝罪が必要なときはお辞儀をして1,2,3ではなく101、102、103」という、ご経験をうかがわせるご指摘もいただきました。そして講義の最後に「物事を総合的に検討して起こりうるリスクを回避し、起こってしまったことについてはそこから教訓を引き出し将来にいかす姿勢が大切」と強調されていました。
同じことが環境全体の人間にとっての「安全」についても言えると思います。そして、例えばかつての公害病や現在環境病と言われている化学物質過敏症などのように、被害が顕在化したときにはもう元に戻すことはできません。何事に対しても見えないリスクを総合的に検討して予測し回避する姿勢が、国民全体に浸透していくことが重要だと思いました。