東京大学新領域創成科学研究科における毒物・劇物の管理

しばらくご無沙汰していたネットフレンドから新年の挨拶がありました。こちらの近況として2016年10月14日記事に書いたこと+αを紹介しました。

・所属する自然環境学専攻では、某教員が学生に対して深刻なハラスメントを行っただけでなく、毒劇物の管理・環境保全のための法令や学内ルールを無視してヒ素・水銀を無登録で使用し、かつその廃液を流しに捨てた可能性があったため、専攻内の会議で指摘した(2013年5月)。
・専攻で全く善処が無かったためメールで再指摘し、研究科長や安全管理担当教員、産業医などにも通報したとたところ(2014年3月)、専攻基幹教授達は一丸となって、表現などを理由に私に講義をさせず、指導していた学生に対しては強制的に専門を異にする他の教員に指導教員を変更させ、以後は学生を募集させないという不利益を強制してきた(2014年4月)。
・学内の通報制度や異議申し立て制度を利用したが全く改善がなかったため、手間と費用をかけて裁判を起こし、和解した(2016年9月)。
・和解後も依然として私が指摘した問題に関する実態解明は行われず、従って再発防止策の検討も為されてないため状況説明を専攻長に求めたところ、「試薬・排液については、山室が研究科(新領域創成科学研究科)に対して直接通報したので、研究科として調査が行われている。研究科長に問い合わせたが、もうしばらく待つようにとのことなので、専攻として対応策を検討する事は調査結果が出るまで慎みたい。」との回答(2016年11月)。
・年が明けてもまだ結果が伝わらないので再度専攻長に確認したところ、まだ研究科から説明がないとの回答(2017年1月)。

そもそも研究科が「山室が研究科に通報したから専攻ではなく研究科で調査するとした」のなら、そういった状況説明をなぜ通報者に全くしないのか、極めて不思議です。
その上、私が通報してからもうすぐ3年です。ヒ素・水銀などの毒物の管理については、その教員の名前では着任後全く試薬登録がなかったことが既に分かっています(だから通報したのです)。ですので、その教員が購入したのかどうかを購入履歴から調べれば(電子情報で少なくとも数年度は残っています)、毒劇法に違反して購入したのに登録さえしていなかったのか、それとも他の教員のを使用していたのか、即座に分かったはずです。

こういったことを伝えたところ、ネットフレンドが「こんな情報があるよ」と教えてくれました。
http://www.u-tokyo.ac.jp/fac06/public07_j.html

東京大学農学生命科学研究科でH18年に青酸カリの紛失事故があり、「適正な薬品管理が行われていない状況を放置し、研究室の薬品管理についての日常的な安全管理体制の確保が不十分であったこと」を重く見て、わずか5ヶ月後の同年12月には当事者に訓告を行っていました。

ネットフレンドはこの記事の感想として「青酸カリ 500g をなくしても、『訓告等の措置』で済むんですね。1000人以上楽勝ですよね。」と記していました。同感です。

ところが新領域創成科学研究科は上記に輪をかけて社会通念から外れていて、普通に考えれば即座にできたはずの事実解明に、3年かけてまだ調査が完了していないというのです。かつて九州大学では、ヒ素が紛失したと勘違いした教員が、精神的に追い詰められて自殺した事件さえありました。ところが今回の事件では、そのヒ素をそもそも登録さえしていなかった可能性があるのです。

自然環境学専攻だけが化学物質の安全管理意識に問題があると思っていましたが、こうなると新領域創成科学研究科の幹部からして、1つ穴の狢ではないかと思えます。そうでないなら通報者に対する対処や毒物劇物管理に関して、社会常識から逸脱するような対応をしてきたことを即時反省し、善処してほしいものです。