クライメートゲート事件

地学雑誌119巻3号が届いたので、帰りの電車でパラパラめくっていました。グローバル気候変動の特集号だったのですが、特集記事の最後を飾っていたタイトルが「クライメートゲート事件」。
特集記事でこれを扱っているのは、そろそろこの事件の評価も落ち着いてきたという認識なのでしょう。それで筆者はこの事件の感想として「科学研究の世界は一般社会から一定の距離をおいた良心が支配する独特な世界である。研究者が心理を追求する過程において、また他人の研究成果を解釈・評価する過程は、基本的に良心を持って進められる」「今回の事件は、気候学を中心とする科学の世界が、IPCCというとてつもなく太いパイプを介して一般社会と一体化したこともあって、必ずしも良心的とはいえない解釈が流布されてしまう、科学界にとっての洗礼だったともとれる。」と記しています。
水環境という社会とのつながりが非常に強い分野では、「必ずしも良心的とはいえない解釈が流布」され、「他人の研究成果を解釈・評価する過程は、基本的に良心を持って進められる」ことさえない場合が,既に起こって久しいように思います。それはいずれは科学そのものへの不信につながりますから、見過ごすべきではないとも思っています。