何はなくとも

フィリピンから留学しているD3のH君、製本された学位論文を持って来ました。副査の先生や、調度執筆しているときに客員教授として来ていただいていたフィリピン大学のF先生の分もあり、重そうです。
「あなたの仕事の重みだね」
と言ったら笑ってました。彼は9月にいったんフィリピンに帰国し、10月からは日本のY大学でポスドクです。
「F先生によろしくね。ここを出たらすぐにフィリピン大で採用するおつもりだったんだから、PDの間もちゃんんと連絡をとってね。」
「はい。F先生は、ポスドク終わったら必ず来なさいと言ってました。でも先生、僕はY大学のポスドクの次は、北米でポスドクしたいと思っています。その時には推薦状お願いします。」
「あなたいつまで妻子を国に置いとくつもり?せっかくF先生が来てくれと言ってるのに。」
「だって先生、フィリピンでは大学教員の給料は安いし、研究費もほとんどない。F先生くらいの大物になればコンサルタントでやっていけるけど、僕が今戻っても無理です。だから日本や北米でお金を貯めて、帰ったら資金に悩まず研究できるようにしたい」
彼の奥様はお医者様なのですが、それでもそ〜ゆう状態なのかぁ、と思いました。そういえばロシアの地質調査所で研究員やってる知人なんかは、経済が混乱していたときは給料がほとんど出なかったのでタクシーの運転手をして生活を支え、コアラーから何から、今でも自分で材料を買って来て作ってしまいます。
日本の大学教授の給料もそれほどバカ高くはないと思いますが(今話題になっている名古屋市議会議員の年収って、私の倍に近いです。。。)、一応生活はしていけます。研究に必要な装置を大学の実験室に導入できるだけの予算を獲得できないのが悩みの種ですが、いよいよとなったら自腹で買うくらいの覚悟でいれば、何事もできないことはないかな、と思いました。