産業技術総合研究所で使わせていただいている質量分析計です。
これから3月末まで、設置してある部屋の工事のため、養生しているところです。フェラルなどに接触しないように枠組の組み立てまで立ち会いました。この後、ベニヤ板で囲うそうです。また部屋も立ち入り禁止になります。
この質量分析計は娘が生まれた年に設置され、15年間、自然科学の知見に寄与する貴重な結果を出してくれました。熱帯海域の海草の窒素同位体比が、栄養塩濃度ではND(検出限界)でも検出されたときには海草にとっては致死的かもしれないという窒素の増加を鋭敏に反映していること。そして炭素同位体比は、それまでは「過去には宍道湖は淡水だった」という説は誤りで、江戸時代の松江付近は今の中海くらいの塩分だったことを証明してくれました。
この質量分析計のターボポンプの音を聞いていると、仕事(=分析)しているような錯覚に浸れてストレスが軽減されていたのですが、これから2ヶ月は面会謝絶です。思えば今年度は、3.11以後6月まで実験排水が流せず分析不可。7月からは前処理室閉鎖、その機能の移転で忙殺され、分析ができるようになったのは11月からでした。たった3ヶ月しかこの装置が動かなかったのは、15年の歴史で初めてです。人間の脳とか筋肉みたく、分析装置も動かしていないとガタが来る(と私は思っているので)、工事が終わったら最優先で分析始めようと思います。