滅多に見られないもの

質量分析計が故障したので、修理していただきました。質量数30のN2のベースがマイナスになってしまうというトラブルで、大気圧の10^-8の高真空部にある、滅多に見られない部品を見せていただきました。
例えば窒素の安定同位体比を測るときは、質量数が28、29、30のN2を検出して比を計算します。加速電圧をかけられて高速で磁場に進入しイオン化されたN2は、直角方向の力を受けて質量に応じた異なる曲率で進路が曲げられるために、分離することができます(詳しく知りたい方は、下記URLの説明がわかりやすいです)。
http://www.cis.kit.ac.jp/~hanba/manual/isotopemeasure.html

下の写真は、異なる曲率により分離された3種類の分子の入り口です。みな同じ大きさだと思っていたのですが、真ん中が端より小さくなっているのですね。28、29、30のN2がひとつづつここを通っていくところを想像して、楽しくなりました。18年間使っている装置ですが、高真空(=汚れの原因になるものもない)なので、新品のようにピカピカしています。