異分野の学会に参加する意義

今年の脳脊髄液減少症研究会で一番感激したのは、人が動いている状態と横臥している状態での脳脊髄液の状態の動画ビデオでした。ちょっと首を動かしただけで、脳のある部分では髄液が激しく動いている一方で、ある部分ではほとんど動いていません。一方その動いていない部分は、睡眠時のような横臥状態では、激しくは無いものの、流れてはいるのです。
髄液は単に脳を頭蓋骨内で浮かしているだけでなく、何か重要な機能があるのではないか。
発表された方は下記のように表現されていました(括弧内は私が加えたものです)

CSF(脳脊髄液) may serve as a communication pathway for substances that affect (人間の)behavior and physiology.

脳がどのように機能するかについて、今後数年で見解が一新するのではないかと感じました。それを可能にするのは、「人は動いているのに、静止画だけ見てていいの?」というセンス(私もかつて、ベントスと環境の関係を研究するのに、採泥器で取った動物だけ見てていいの?と思ってダイビングを始めました)と、先進的な機器の利用・開発でしょう。
そう言えば、私の師匠の小池先生も、血球をカウントする医療用機器で海水中の粒子のサイズ分布を調べてNatureに論文を載せていました。またCTも元々は医療機器ですが、今では地学で柱状試料を見る装置として広まっています。
全く私の専門ではない医学の一分野の研究会ですが、発想法や環境にも使えそうなテクノロジーを見るという意味からも、今後も参加させていただこうと思いました。