西條八束先生

今日は西條八束先生の9回目の命日です。
11月に沖縄で開かれる陸水学会大会では、西條先生が名古屋大学に残された陸水学資料に関する発表があります。そこでも紹介されると思いますが、先生の資料の一部は私が東大に移ってすぐに、「未来の陸水学研究者のために保管してください。」と東大に寄贈いただきました。その私が所属する東京大学・自然環境学専攻が、ヒ素・水銀の廃液を流しに捨てていた可能性をうやむやにしようとしたのです。陸水学に関わるものとして到底、見過ごすことはできませんでした。
西條先生は「私は天皇批判以外でしたら、何でも引き受けますから」と、中海干拓問題のときには書き尽くせないほど様々にご支援をいただきました。また貧酸素問題が日本の水環境問題でますます深刻になるだろうと、2000年以前から貧酸素に関する本を書くよう促され、その本には吉村信吉先生が1930年代に測定した全国湖沼の溶存酸素濃度を掲載すべきだと、ご遺族の連絡先を教えてくださいました。ちょうどこの頃に交通事故に遭って脳に高次機能障害を負い、拙著「貧酸素水塊 現状と対策」の出版は2013年までずれこみ、先生のご生前に謹呈することができませんでした。私の人生で何が悔しいと言って、これほど悔しかったことはありません(あの事故さえなければ。。。)。
そんな先生ですから、自分が陸水学の将来を託した研究室がある専攻で起こったこと、それを正そうとした私に専攻の教授達(一部は先生と私の出身である東大地理出身)が行った事については、天国で激怒されていると思います。そして、こんな教授達に囲まれた専攻で陸水学を広めることについて、危惧を覚えておられると思います。
西條先生が関わって来られたことは、宍道湖淡水化にしろ中海干拓にしろ、絶対に止めることは不可能と思われたことが可能になりました。自然環境学専攻の教授達もいずれは、自分達がやったことを心から後悔するようになるのだろうと思います。