ASLO 2017 Aquatic Science Meeting報告

アメリカでは今後の温暖化による悪化の懸念もあり、アオコに関するセッションが丸3日ありました。日本でも宍道湖霞ヶ浦で近年(2012年)ひどいアオコが発生しているので、海草や古陸水学セッションのどうしても聞きたい講演以外は、2日目からずっとアオコセッションにいました。
五大湖とフロリダのミクロシスティスによるアオコは特にひどくて、どろどろのスープのようでした。しかもミクロシスティンという毒性物質をもつタイプで、このミクロシスティンが海まで流れても分解せず、海岸の二枚貝に蓄積しているという発表もありました。
日本では人の健康に害があるほどのミクロシスティンが検出されたという話を聞いたことが無く、ミクロシスティンの有無がどう決まるのか興味深いです。

フロリダではプランクトンだけでなく底生性のラン藻も増えていて、これらの中にも毒性物質を出すものがあるとのことでした。一方の五大湖でも、オンタリオ湖ではラン藻ではなく、バイカル湖のように底生緑藻(Chladophora)が繁茂していました。原因はバイカル湖同様、下水処理水の地下水からの浸透ではないかとのことでした。

下水処理水や肥料には尿素が含まれていることが多いのですが、尿素に関するトピックも意外とありました。特にアオコ発生の増加は尿素増加が原因とする発表がポスターでいくつか見られました。

(余談)
せっかくASLOに来たのにアオコと海草と古陸水学だけではもったいないので、会場にあったポスターは全部目を通そうと決めてしまったのがアダになり、600以上あるポスターを完読できたのが3月2日の夜でした。3日午前もアオコセッションを聞いてから帰国の途についたため、結局、ハワイの海岸に立つことはありませんでした。。。