5年1億円が必要最小限

今年度スタート分として出した助成は全部で4件。うち科研費基盤Bは落選しました。基盤B海外(バイカル湖)を既に走らせているので、まず無理かなと思っていたとおりでした。
残りは科研費萌芽と民間助成2件。全部落ちてもバイカル湖研究の科研と、宍道湖関連の2つの助成金があるので今年度は全く困らないのですが、来年度の財源を安泰にするには、残り3件のうちどれか1件は採択されてほしいところです。バイカル湖の科研も来年で終わるのですが、まだまだ問題解決には時間がかかりそうなので、今年は国内だけでなく国際ファンドも視野に入れて助成金獲得を目指そうと思います。
それにしても、最近は水環境関係のフィールドワークを対象にした助成の規模が、縮小しているように感じます。私が30歳代でプロジェクトリーダーを務めた公害特研は、5年で1億円以上の助成を頂きました。同じ宍道湖で5年で1億円確保するのは、今の時代ひとつの財源では無理で、現在は2つの助成をいただいて進めています。
水環境は最低5年は研究しないと、意味のある成果を得るのは難しいと思います。典型例が私の学位論文で、夏の宍道湖の物質循環を調べるという限定されたテーマであっても、ある夏は1ヶ月ずっと豪雨の濁水が引かず調査できなかったなどで、データ一式を得るのに5年かかりました。
1990年代に5年間展開したプロジェクトと、2010年代に5年間展開したプロジェクト。この2つを比較することで、他の湖沼では絶対に得られない貴重な知見も得られています。2030年代には今の若手が5年・1億円規模の共同プロジェクトを展開して、1950年代から定量的なデータの蓄積があるこの宍道湖でしか得られない、普遍的な知見を獲得してくれることを願っています。
私はその頃70歳代ですが、西條先生にならって、きっとまだフィールドで研究していることと思います(たぶん潜水調査もやってるでしょう)。死後に生前投稿した論文が印刷になるという先例も、しっかり継げればと思っています。