桐村里沙「日本人はなぜ臭いといわれるのか」

芳香剤と除菌グッズが科学者としては理解不能なまでにもてはやされている日本ですが、予防医学の見地からその問題点をとても分かりやすく解説した好著です。柔軟剤の芳香などでその人本来のにおいをごまかすことは、いわば黄疸や貧血で顔色が悪いのを「みっともない」とファンデーションなどで誤魔化し、病院に行かないでいるようなことだと、本書を読めば理解できると思います。ごまかさねばならない臭いがあるのは、放置すると深刻な症状が出る病気の予兆か、既に病気になっている可能性があるのです。
柔軟剤も含め、芳香剤には既に海外では禁止されている化学物質が多用されていることも指摘しています。
私は常々、環境を守ることは花鳥風月を愛でるといった趣味の問題ではなく、私達の健康を守ることだと考えていますが、一般の方にわかりやすく理由を伝えるにはどうすればよいのか分からずにいました。定年後は海外の医学部に進学して医師の資格を得て、健康面から環境問題の著述を行うのもアリかなと思いました。

日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)

日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)

(追伸)
同じ著者が2012年に講談社から「解抗免力」という本を出していました。Amazonの商品説明を見る限り科学的な内容を分かりやすく解説した好著に見えるのですが、現時点でアマゾンにカスタマーレビューがまだなく、売れ筋ランキングは 1214398位。講談社よりはるかに小さい書店から出版した拙著「里湖モク採り物語」でさえ878310位なので、全然マッタク売れませんでした、という感じだったようです。知識の問題ではなく、売れるように書くテクがあるのかもしれません。この「解抗免力」も買って、本書との違いを検討することにしました。