NHKスペシャル「シリーズ体感首都直下地震」DAY1を見ました。内閣府が作成した被害想定に基づいて映像化していて、その想定では死者を23000人(うち火災での死亡者16000人)と予測しています。前回、1923年の関東大震災の死者・行方不明者は10万5千人、うち火災での死亡者は92000人です。前回より火災の被害者が大幅に減るとすることで、前回の2割の犠牲者で済むとしているのです。
確かに燃えやすい木造住宅は1923年当時より遙かに少ないでしょうが、1923年当時はそれほどなかったガソリンスタンドや、避難しようと渋滞する車が炎上する可能性はどうでしょう。また阪神淡路大震災のときには阪神高速神戸線が倒壊するという「想定外」の事態が起こりました。同じ事が真昼の首都高で起こったら、追突されるだけで車は炎上するのですから、倒れた高架から落下した車が爆発する可能性大です。
そもそも1923年当時より人口密度が圧倒的に増えているのが問題です。ドラマでも群集雪崩が渋谷や丸の内で発生し、人々が圧死する様子を描いています。それ以外にもいろいろ、想定外の事態が起こると思われます。
定期的に地震が来ることが分かっているのに、なぜ日本人は、この危険な場所への一局集中を是正しようとしないのでしょう。それは、ドラマでもつぶやかれていたように、首都直下地震が来るとどうなるか、リアルに想像できていないからではないでしょうか。そしてリアルに想像できない大きな原因が、地学教育をまともに行ってこなかったからだと思います。ここ数年頻繁に起こっている洪水にしても土砂崩れにしても、地学の素養があれば救えた命がたくさんあったのに。
今回のドラマを見た方は、多少は意識が変わるかもしれません。しかし4日間通してドラマを見る方は、それほどいないと思います。天災のデパートのようなこの国での減災の基本は、災害の原因となる現象を科学的に理解する基本である「地学」の義務教育での必修化以外にありません。