誰もが知らない間に吸い込んでいるかもしれない人工香料原液

先日の水環境学会では、柔軟剤のマイクロカプセルについて発表しました。柔軟剤の香料成分は揮発性、かつ疎水性です。そして国内外で、香料成分が魚介類から検出されたとの論文が発表されています。なぜ揮発性・疎水性の香料が検出されるかのメカニズムは誰も研究しておらず、「マイクロカプセルに保護されているから」との仮説で研究を進めています。濾過後に大幅に減少したので、ほぼ間違いないと思っています。
私が発表したセッションでは、マイクロカプセルが大気に大量に漂っているとの、ショッキングな発表がありました。屋外、車内、郊外と、場所を選ばす検出されているそうです。
一時期、香害の原因として、マイクロカプセルの材料であるイソシアネートが原因との主張がありましたが、別のセッションで水中から得られたマイクロカプセルを分析された方によると、大部分がメラミン樹脂だったそうです。
私は、香害の原因はイソシアネートではなく、香料自体だと思っています。香料も濃度によってはアレルギーを引き起こします。最近の「香り長持ち」する柔軟剤に含まれる香料入りマイクロカプセルは、衣類から大気に拡散し、肺に直接、カプセルに保護された香料原液が到達します。PM2.5が人の健康に与える悪影響が懸念されていますが、化学物質が内部にある分、香料入りマイクロカプセルはさらに深刻だと思われます。

香害に苦しむ方達は、炭鉱のカナリヤのように、危険を敏感に感じ取っているのだと思います。一酸化炭素は無味無臭なので、一酸化炭素中毒では毒を吸い込んだとの自覚が無いまま様々な症状が現れ、最悪、死に至ります。マイクロカプセルによって様々な化学物質を直接肺に取り込むようになった人間も(近年は農薬成分を内包したマイクロカプセルも環境中に放出されています)、自覚が無いまま、様々な病気に苦しむことになるのだろうと思います。当然ながら、マイクロカプセルで化学物質原液を環境中に放出しているメーカーが、責任を取ることはありません。