カワヒバリガイはどうして広まった?

来月行う予定の陸水学実習では、カワヒバリガイの分布を調べます。それで、カワヒバリガイ関係の論文などをレビューしていて、ある疑問が生じました。
日本では琵琶湖(近畿)、矢作川(東海)、鏑川(関東)でカワヒバリガイの被害が生じています。どうしてこのように断続的に分布するのでしょうか。また、カワヒバリガイは温帯〜亜熱帯域に分布する種であるのに、現在被害が起こっているところより低緯度の地域で被害が起こっていないのはなぜでしょう?
可能性の一つは、ある日あるとき日本に持ち込まれた個体群が日本中に広がった(アメリカザリガニがこのパターン)のではなく、上記の被害発生地かその近辺に個別に持ち込まれた。より温暖な地域には持ち込まれていないために被害が発生していない、というものです。
では、カワヒバリガイはどのような営為によって、個別に持ち込まれたのでしょうか。
持ち込まれてから、それが連続した水系でどのように分布を拡大するのかも重要な課題ですが、そもそもどのようにして個別の水域に持ち込まれたかの方が、被害を防ぐという観点からは、より本質的であるように思います。


追記(7月5日)
生態学がご専門の先生から、下記のコメントをいただきました。ご指摘ありがとうございました。

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すでにご存知かもしれませんが、環境省特定外来種指定の際の資料によると、中国産のシジミに混入して移入したとされています。たしかに、霞ヶ浦流域、矢作川など、大陸産シジミの放流が行われているところで問題になっているように思います。日本にいったん入ってから拡大しているだけでなく、大陸から、シジミ輸入にともなって複数回移入したという可能性もあるのではないでしょうか。