地理学者の絵

故・西條八束先生の奥様から、先生の画集「旅のスケッチ集2001」を贈っていただきました。どの絵にも先生らしさを感じるのですが、それはなぜなのか。
奥様が寄せられていた文章によると、西條先生は山などを描いていて、構図に失敗することがほとんどなかったそうです。そして「対象に感動しても決して酔うことはない」とありました。
私は「自然地理学」という学問を「時空における対象とする現象の位置をふまえ、自然科学の諸手法を用いて総合的に把握する『考え方』の学問」と理解しています。地理学出身の先生が身につけた総合性が構図に、そして対象の位置を把握するためには対象と一体化してはならず、そのような距離の取り方が先生らしさと感じられるのかもしれません。

追伸:1月24日から2月1日まで、American Society of Limnology and Oceanographyの大会に参加するため海外出張します。ネットにつなげたら聴いた講演のご報告をアップする予定です。