博士の末路―ポスドク問題をどうするか―

就職というと普通は学卒・修士卒で定職につくと認識されていて、定職につけなかった若者が契約社員など不安定な身分に甘んじざるを得ないのはおかしいとの議論が一般にも目につくようになったのは昨今の不況になってから。なのにポスドクだけは、学位をとってすぐに定職はまず無理と自他共に認識され、35歳以上のポスドクが全体の4分の1を占めるって、やっぱりおかしい。
アメリカとかだったら、研究職以外の職業も流動的だし、○歳以上になったら採用されないなんて年齢の縛りが日本より格段に少ない。日本は他と比べて研究職だけが若い間に任期付きを甘んじなければならないという、そのバランスの悪さが問題。
この問題についてネットで調べていて、表題の文章を見つけました。著者は衆議院議員政策担当秘書さんだそうです。特に「あまり指摘されていないポイントを2点」とあった下記に共感しました。

その1.「ポスドク問題をポスドクの立場に立って議論する場所がないということである。大学は、学生でも正規職員でもないポスドクの進路について真剣に考えてはくれない。」
これは大学の助教さんも同様です。ある助教さんから「教授会が我々若手のことを考えてくれるなんて、全く期待していません」と言われて、すごく悲しくなりました。一番活躍できる年齢の若手から、ここでは上司を信頼できず安心して働けない、と言われたのと同じですから。

その2.「国公立大学の法人化により、多くのポストが期限付きとなってきている。研究者は常に失業の恐怖におびえながら、研究を続けなければならないという状況が進行している。このような現状が続き、また、その認識が定着すれば、優秀な人材は研究者の道に進むことを躊躇するということも危惧される。」

その通りだと思います。特に自然環境の研究は、国家百年の計の基本であり、それによって短期的な利潤が特定の集団にもたらすものではありません。その上に30代半ばまで定職につけないとなれば、この国にとって本当に必要な研究の裾野がジリ貧になることは目に見えています。

私に何ができるだろう。。。