不況下の中小企業

我が家の緑色の屋根にはソーラーパネルがド〜ンという感じで載っていて、いかにもエコハウスです(実際、私にとっては自慢のエコハウスなので、専攻の学生さんは、これから数々の自慢を聞かされることでしょう)。
そのソーラーパネルの部品に不具合があるので交換しますと、工務店(URL)を通じて足場屋さんが来ました。交換自体はあっという間でしたが、足場の組み立てと解体には1週間くらいかかりました。
それから数週間経っても請求が来ないので工務店に電話したら、「あれはうちが自主的にやってるものですから、無料です。いくつかのお宅で雨漏りがするのでソーラーパネルのメーカーに問い合わせても埒があかなかったので、うちで合う部品を探してきて自主交換してる分です。」「でも足場代だけでも相当かかりませんでしたか?」「こういう仕事していると、そういうこともありますから。うちとしてはこれでお客さんの家が漏れてないかと心配しないで済みますので。安心料と思っていますから気にしないでください。」
どこの業界も不況で大変、ましては中小の工務店なんてその最たるものだと思うのですけど、不況下にあってもお客様第一、それも新築ではなく、既に建て終わった住宅のケアにこれほど気を遣ってくれるメーカーは滅多にないと思います。
この工務店はもともとは木材屋だったのを、それだけではやっていけないということで住宅建設を始めたそうです。もう20年近く前、新規参入で特色を出すために始めたのがソーラーを電気にせず床暖房や水を温めるのだけに使うこと、バリアフリー、化学物質の排除。講義でよく「家は生涯最大の買い物だから、あらゆることを検討しなさい」と言っていますが、どこに建ててもらうかを決めるのも同じです。私の場合は中小5社、メーカーは住宅展示場にあるすべてのメーカー担当者と話し、その中からメーカー2社、中小2社を選んで、全担当者に同じ文書でこちらの要望を送って間取り図と見積もりを作ってもらった結果、客が何を求めているのか理解しようとする姿勢が一番高いことで選んだのが、この工務店でした。
これから人生、いろんな局面があると思います。そのすべてにマニュアルがあるわけではありません。自分は何を求めているのか、その為にはどういう情報が必要で、既報は何を言っているのか、既報にない情報を得るにはどういう調査・実験をすればいいのかなど、陸水研で修論研究を通じて行う一連の作業は、あらゆる場面に応用できると思います。