おおらかな「地形学」

Reactivation of a cryptobiotic stream ecosystem in the McMurdo Dry Valleys, Antarctica; A long-term geomorphological experiment.
というタイトルの論文が、2007年のGeomorphology誌に掲載されていました。著者に窒素固定の研究で有名なCaponeさんの名前があったので、そもそもこれはgeomorphological experimentとあっても地形ガチガチの論文ではないに違いないと思っていたら、案の定でした。
南極は、実は砂漠並に乾燥していて、氷が溶けて水がしみていたり流れている土壌にしか普通の生物は住めません。なので普段は藍藻類も、フリードライ状態で休眠しているそうです。そんな乾いた土地に水を長期にわたって流し続けるという「地形実験」をしたら、あっという間に藍藻マットが生えて、それがとんでもない速度で窒素固定をしていた、という内容でした。
私が地質調査所で二枚貝を通じた物質循環を研究していたら、「何で地質調査所がそんな研究をするのですか」といぶかられることがありました。そんなときは「アメリカで同じ分野の研究を展開している大御所はUSGS(米国地質調査所)の方ですよ。地学は地球の総合科学ですから、地圏だけでなく、大気圏だって水圏だって対象ですし、手法は物理も化学も生物も、何でも使いますよ」と答えていました。
でもまさか、地形学の雑誌にこんな内容が載るほどおおらかなんて。