自動速度制限装置、オーストラリアではできて日本ではできない

日本自動車連盟の広報誌「JAF Mate」最新号(2009年8・9月号)の「海外交通ニュース」欄に、オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、1000台の車を使って自動速度制限装置の走行実験を始めたとの記事がありました。
自動速度制限装置はアクセルとエンジンの間に取り付けられ、道路の制限速度をプログラムしたGPSシステムとつながっています。車が制限速度を越えると警報を鳴らし、それでも速度を落とさないときはエンジン出力をカットして制限速度に戻します。衛星を利用して各地の制限速度情報を得るので、道路に特別な装置を設ける必要もないそうです。
実験は1年から1年半かけて行われ、その結果を見てすべての新車に標準装備したい、とのことでした。こういう装置があれば、制限速度を越えて赤信号で突っこみ、信号待ちをしていた歩行者を死亡させる、などの事故がかなり減ると思われます。
私はかなり以前に土木関係の雑誌の座談会で、日本こそ、事故が起きないインテリジェント道路を世界で初めて実現できるはずだ、日本にはそれだけのエレクトロニクスやITの技術があるはずだと話しました。その後ETCはあれよあれよと発達し、いったいどこからその財源がでているのか知りませんが、値引きまでされています。GPS情報は安全の為ではなく抜け道探しに利用され、その結果、生活道路に近所の様子が分からない車が入り込み、保育園児の列に車が突っ込むなど、歩行者の危険を増加させています。一方で、何より大切なはずの人の命を守る仕組みについては、北欧やオーストラリアなどに比べて、はるかに後塵を拝んでいるように思います。
やるせないですね。