沈黙は金

脳脊髄液減少症の後遺症の大部分が回復した今でも、情動と英語については、まだまだ改善されていません。英語について細かく見ると、読む・聞くは5割方改善してきたかなと思うのですが、話す・書くは全然です。かつては英語で考えていて、それでネイティブとの会話にはちょうどでした。今は、何か発言しようと日本語から英語に翻訳している間に、もう別の議論に行ってしまっている。。

そんな中、産経新聞のコラムに元気づけられる文章がありました。東京五輪の招致に関して、開催5年前のIOC総会でのスピーチが決定打になったとの趣旨でした。それによると、当初、説明担当だった外務省参事官がけがで欠場を余儀なくされ、ピンチヒッターを努めたのがNHK解説委員だった方。

「西洋では私たちの土地を『ファー・イースト』と呼ぶ。だが、今はジェット機時代、距離は『ファー』ではない。遠いのは、国と国、人間の人間の理解なのだ」

45分の手持ち時間のうち15分しか使わないで、アジアで初めて開催する意義を上記のように強調したそうです。その前のスピーチが冗長だったので、余計に効果的だったそのスピーチ。このコラムではこれを評して「スカートとスピーチは短い方がいい、という言い古された言葉は正しかったと結んでいます(え?そんな言葉が言い古されていたの?と絶句)。

ともかく西洋でも、沈黙は金、雄弁は銀と言うそうです(西洋では当時、銀の方が価値が高かったという説もあるそうですが)。考えを全く言えなければ話になりませんが、意味ある単語の羅列が、冗長なスピーチより人を動かすことがあるかもしれないと期待して、当面は日本語脳で論旨を念入りに推敲してから英語に直すようにしようと思いました。