アサザの植栽が霞ヶ浦の自然再生だと信じて活動している某団体のホームページを眺めていると、すごくおかしくて笑ってしまう記載があったります。
この団体は、本来は波あたりがよい砂浜だった所に浮葉植物のアサザを増やそうと、波をさえぎる消波施設を作るという、水質の観点からは浄化作用にあまりよろしくないことをしています(「アサザ」でこのブログを検索していただければ関連記事が出てきます。また学術雑誌でも、アサザのような浮葉植物は水質を悪化させることを、海外の学術論文を引用して議論しています)。
で、ホームページによると、自然界ではこの消波施設の役割は、沈水植物が果たしていると気づいたのだそうです。そして「沈水植物は現在の霞ヶ浦ではアサザ以上に見られなくなっています。水の透明度が悪い霞ヶ浦では、太陽光が届かないので育つことができないのです。アサザプロジェクトによる効果がもっと出て、水の透明度が高くなったら沈水植物も育つことができるようになるでしょう。それまでは粗朶消波施設の出番は続きそうです。」なんだそうです。
琵琶湖の南湖は沈水植物が復活して10年以上経ちますが、それで湖岸の波浪が弱くなって、浮葉植物が復活したなんて話は、聞いたことがありません。現在の植物の分布を下記でご覧になると、どこにも浮葉植物帯が記されていないことがわかると思います。
http://www.pref.shiga.jp/biwako/koai/handbook/files/2-03.pdf
霞ヶ浦だって、今、消波施設を作っているあたりはそうだったはずです。そして湖岸が改変されるまで、浮葉植物は、小さい湾のようになって波あたりが非常に小さい、琵琶湖でいうところの内湖に繁茂していたのではないでしょうか。
昨年のアサザが花盛りの頃、大学の実習で付近の水を採水して水質を測ってみました。酸素が豊富だったら検出されるはずのないアンモニアがパックテストで検出されるほど濃度が高く、この水が水道水源になっているつくば市民としては憤懣やるかたない思いでした.某団体の主宰者方は付近の住民ではないので、気にならないのかもしれませんが。
ちなみに平成19年度公共用水域水質測定結果を見る限り、全窒素も全リンも、特に改善に向かっているようには見えませんでした。