第8回脳脊髄液減少症研究会から(3)

髄液がどこから漏れるのか、どこで吸収されるのか、実はそんな基本的なところがヒトではまだ分かっていないのだそうです。これまでの知見は主にラットによるもの。これが二足歩行のヒトに当てはまるかと言えば、はなはだ疑問です。そこでニホンザルを使って酵素組織化学法により形態学的な解析を行った先生をお招きしての特別講演が企画されました。こういう講演が企画されるところに、この研究会の真摯さを感じます。
初めて聞く用語が多く完全には理解できませんでしたが、脊髄の位置によって、髄液がリンパ管に吸収されるメカニズムが異なっていることや、なぜ外傷で漏れやすいかについて、この先生がニホンザルを使って行った解析からは、裂けるというイメージではなく、網目状の通路が通りやすくなる程度のようでした。しかし交通外傷でしばしば漏れるとされる腰椎については検討されていませんでした。他にも様々な事がニホンザルを使えば分かると期待されるのですが、あいにく今では動物保護の観点から、ニホンザルを使った実験はできないのだそうです。
例えばその生息地本来の数より増えて捕獲・殺鼠処分が必要な状況が生じたらその個体は使ってよいなどの対応があればよいのにと思いました。