第8回脳脊髄液減少症研究会から(2)

アミノ酸服用による脳脊髄液減少症の症状を緩和する可能性の検討」というタイトルで発表しました。前半は、ブラッドパッチを行っても症状が軽減しない患者によるアミノ酸服用効果の検討結果を報告しました。8名のうち全く効果が無かった方は1名だけという結果は、他のどの方法でも効果が認められなかった患者であることを考えると、アミノ酸の効果はさらに検討すべき課題であると提案しました。これについては、コントロールもきちんととったデータが必要だとの、ごもっともな意見をいただきました。そうしたいのは山々なのですが、現状では効果がないことを証明するために患者様に何かを飲んでいただくのは難しいです。
後半は、なぜアミノ酸が効いたのかについて、
1.硬膜が裂けたまま塞がらないのは、化学物質による代謝異常が原因
2.EBPの効果がでにくい患者は、代謝異常によって髄液の産出も少なく、同時に化学物質への曝露によって他の症候群も併発している
3.アミノ酸を過剰に摂取することによって、通常濃度では代謝が十分でない何らかの反応(例えば髄液の産出)が十分に行えるようになって、症状が緩和した
との仮説を提示しました。事前に共同研究者の医師の先生方に「こんな大胆な仮説出して,本当にいいんですか?」と確認したところ、「いいんです。考え方としては明快だと思いますから。この病気については分かっていないことが多いから、いろいろな可能性を考えて研究を進めていかないと」とのことでした。とはいえ、どんな反論が出るやらと内心ヒヤヒヤしていましたが、「そんな馬鹿な」という反応はおかげさまで全くなく、むしろ「私もそう思う。患者にはアレルギーの人がかなり多い」というコメントをいただきました。発表後に、「どれくらい飲めば効果がありましたか?」と質問に来られた先生もおられて、まずまずだったかなと思います。