池になった川

22日の水草研究会巡検で撮影した写真です。

流れのない浅場に、ホザキノフサモやコウガイモ、ササバモなど在来の沈水植物が多種類繁茂しています。ここはどこでしょう?

実は淀川です。川なのに流れは全くなく、まるで池のようです。淀川新橋の左岸側、この写真では下にあたるところを撮ったものです。右岸側は樹木で覆われています。
私の実家は、淀川新橋から1km少々のところにあり、自然観察が好きだった私は、このあたりにはよく来ていました。子供の頃、本流は流れがあるので近づかないように言われていました。近づいていいのは、堤防(ヨモギやツクシを採っていました)からワンドまででした。堤防から下はヨシ原で、当時はまだ洪水もしばしば起こっていたので、木など1本もありませんでした。ヨシ原を歩くと足下はずくずくしていました。小さめのワンドの中は泥なので、靴を泥染めにすると親に叱られるから、脱いで入っていました。人数がいるときはワンドの入り口をふさぎ、中の水をバケツでかきだして、魚を手づかみにして遊びました。フナやドジョウがたくさんとれた記憶があります。稀に大きな鯉もとれました。
70年代後半、ヨシ原だった部分は高水敷に整備され、道路と公園になりました。その頃にはもうワンドで遊ぶ年頃ではなかったので、また本流には近づくなと言う刷り込みのおかげで特に近づいて見ることがなく、先日初めて、変わり果てた淀川本流の姿を見て愕然としました。
子供だった私にはワンドがつぶされたことしか認知していなかった70年代後半、実は淀川河口には淀川大堰が作られていたのでした。そこで流れが止められたために、淀川は20km近く上流のこの地点までも、ため池状態になってしまいました。
このような大きな改変なので、当然ながら生態学関係の先生方も委員になって影響を検討したそうです。でもどなたも、流水が止水になることの影響の大きさを深刻に検討されなかったそうです。その時の関係者は、もしかしたら河川生態学がご専門ではなかったかもしれません。しかし、今や淀川は川ではなく池になってしまっていることは明らかです。川を池にした上で、いくら自然再生を目指しても、土台無理というものです。
もともと大堰の建設は、洪水制御が大きな目的だったとうかがいました。だとしたら、シロウト考えでは、常時多少の放流をしても治水上全く問題ない気がします。ため池から川に戻すくらいは、工夫次第で可能なのではないかと思いました。