作家は大変!

年末に竹内薫著「なぜ『科学』はウソをつくのか」を読みました。生協書籍部でチラっと立ち読みした時に、彼が今で言う高学歴ワーキングプアの走りで、かつ科学者としてやっていけなくなって作家となるまでの苦節が書かれていて、これから何人もPDを出すであろう研究室の責任者として衝動買いしてしまったのでした。
読んだ直後はマスコミや文部科学省の政策に対する批判についていろいろ考えていたのですが、今日になってふと、理工系をネタにした作家で生活するのはどれくらい大変か、計算してみようと思いつきました。
上記の本は定価1470円です。印税は売れっ子作家だと10%かそれ以上だそうですが、通常は7%位とのネット情報がありました。駆け出し当初は7%だったとして、定価1470円の本の印税は103円。370万円(=1000万円を年4%複利で10年運用したときの税抜き利益)を印税で稼ごうとすると、税金抜きにしても約36000冊売る必要があります。本が売れるのは出版後1年以内が一番多いでしょうから、年収400万円以上を安定して得ようとすると、3万部近く売れる本を年2冊ペースで書き続けなければなりません。健康関係とかノーハウ本ではない理工系ネタでこれだけ売り続けるのは、相当大変そうです。
脳脊髄液減少症がひどかったとき、これは職を失うかもしれない、だとしたら寝たきりでどうやって稼ごうといろいろ考えて、作家はどうかと思いました。試しに匿名でテーマを特定せずにブログを始めたところ、2ヶ月後には現在のこのブログ(4年近く)と同じアクセス数になり、某社からは出版のお誘いもありました。これならやっていけそうと思い、11ヶ月で閉じました。この経験から、理工系ネタに限ると本を売るのは難しいだろうと思うわけです。