修論での発見

今年の修論研究では、みなそれぞれに水環境問題において重要な発見をしました。
A君は、十和田湖の彼が採った測線では、水深が浅いところの維管束植物よりも深いところのシャジクモの量の方が多いことを、3D画像から示しました。
Y君は、モツゴは貧酸素に強く○も食べてしまう特性を生かして、ハス帯の主になっていることを示しました。
Cさんは、アメリカザリガニは同郷のミシシッピアカミミガメよりも在来のイシガメを怖がることと、イシガメの保護が沈水植物保全の鍵であることを示しました。
Hさんは、ハスはアメリカで猛威をふるったヒシよりもひどい酸欠をもたらし、他の水草を駆逐する可能性を示しました。
A君は、屋久島の河川と本州の河川では、礫径と勾配の関係が全く異なることを示しました。
中でもA君の発見は、長い間の私の疑問に直結するだけに、感慨深いものがありました。修論発表会で一番見てほしかったスライドを時間切れで示せなかったことが、残念でなりません。くやしいから、一刻も早く投稿して世に問いたいと思います。
そもそもは6年前に屋久島の川を初めて見て「何なんだ、これは!」と思ったのが始まりでした。多少は地形学を覚えていたので、この勾配にこんな礫がゴロゴロはないだろ?と思いました。それで知り合いの河川工学が専門の先生にも見てもらって、やはり本州の河川とは全然違うということで一致、礫の移動と樹林化という切り口で研究してみようということになったのでした。
A君はもともと樹林化の研究をしたいと進学して来たので、それではと3人で屋久島に行って調査を進めるうちに、その先生と私の中では、屋久島の川が本州の川からの知見と根本的に違うという点に関心が戻っていきました。
その頃に一度、「そもそも地形学ではどう言われているか調べておいて下さい」と指示したのですが、A君が専門の論文だけ探していて、教科書にまで当たっていないことに気づかなかったのが敗因だったと、ようやく落ち着いた今思っています。